2013年04月12日

完本上田秋成年譜考説

ついに刊行された。高田衛先生の『上田秋成年譜考説』が、「完本」として復刊された(ぺりかん社、2013年4月)。上田秋成を少しでも専門的に調べようとした人(たとえばそれが卒論や、演習などでも)は、誰しもこの本を参照したはずである。そして、それが単なる年譜ではなく、実に見事に、上田秋成という存在を描き、それを現代に蘇らせるという稀有な仕事であることを了解するはずである。年譜としても、現在に至るまで第一の基本資料としての位置を譲っていないが、その真骨頂は考説の部分にある。ここに我々後学は、インパクトを受けた。高田衛にしか描けない秋成がいた。それがどれだけ、我々に影響を与えただろうか。そして、我々の目標になっただろうか。高田先生の描いた秋成とは違う秋成像が描けるのか。そこに秋成研究のモチベーションがあったのである。

その影響力からいっても、本書は秋成研究のみならず、日本文学研究の金字塔と言って過言ではない。解説の長島弘明さんの文章も、御自身の研究が高田先生の研究にいかに影響を受けたかを率直に吐露したものだと言えよう。現時点で、高田先生の年譜を超える年譜を書ける人の最右翼にいる、最適任の解説者である。

我々が院生のころから、古書価格は十万円近くした。私は恩師にお借りして、恩師の書き入れのあるコピーを長く使わせていただいた。簡易製本のため、バラバラになりかけたのを自分で製本しなおしたりして、使い続けた。ここにようやく定本が出る。それは私にとって嬉しいことだが、しかし今後の日本文学研究にとっても、非常にありがたいことだ。是非、若い人に読んでもらいたい。あえて、発表時のままのスタイルで刊行されるのは、本書が研究書であるとともに、誤解を恐れずにいえば高田衛という人の文学作品でもあるからだ。データ完備時代とは違う時代の年譜作成とはなにか?松崎先生の語彙カードにも感じた「志」を本書でも感じることができる。
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近世部会誌

日本文学協会近世部会の出す『近世部会誌』。なかなか入手がむずかしいらしいのだが、ご親切な方がいて、7号(2013年3月)もまた落掌。短文ながら新資料の紹介や典拠の指摘などもあって貴重である。かつての理論的な文章は、近年は若干少なくなった印象。部会では、八犬伝を読んでいるらしい。月1回で、岩波文庫本半分進むらしいが、どういう風に担当者は報告をするんでしょうか?そういう輪読会をやったことがないので、想像がつかない…。
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