2014年11月30日

諸国翁墳記

田坂英俊氏の『諸国翁墳記―翻刻と検討』(2014年10月、慶照寺)が上梓された。

『諸国翁墳記』の「翁」とは芭蕉のこと。すなわちこの本は江戸時代に編まれた芭蕉塚集成である(先の俳文学会でもこの本についての発表があった)。年々、全国で少しずつ増えていく芭蕉塚を次々に記録しては出版した異色の出版物である。当然出版されるたびに少しずつ丁数が増えて行く。本書に序を寄せた田中道雄先生は、各図書館にある『諸国翁墳記』を閲覧するたびに、丁数が異なるのに困惑し、どの時点で増補が停止したのかを把握できなかったという。

 田坂英俊氏は、その最終形態である資料を入手した。それは明治六年十月(422基め)の記事を含む本であった。江戸の版行された作品研究では、一般的に初版初刷が求められるものだが、この本ばかりは、最終形態こそが完本として大きな意義をもつ。それは、可視化された芭蕉享受史でもある。それが今回翻刻された。

 田坂氏は52種類の異なる本を実見している。時間をかけねばできない仕事である。そして細かい検討を通して、本書の諸問題を明らかにしていく。

 田坂氏は、晩年の秋成の世話をしていた昇道の研究者でもある。私は昇道のことで田坂氏に手紙で質問をし、それから研究上の御付き合いをさせていただいているが、僧職にあって、その精力的な研究ぶりは、専門家と比べても遜色がない。地域の文人の研究書を次から次へと出されており、田中先生によれば俳諧資料集だけで20点を出版されている。そして蝶夢全集の編纂にも加わっている。私たちの受ける恩恵は非常に大きいのである。

 本書は、とりわけ、芭蕉(受容)研究、俳諧史にとってきわめて意義深い出版である。 
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月29日

寄合と付合

深沢眞二・深沢了子のSNコンビが、宗因独吟「来る春や」百韻注釈第5弾を「近世文学研究」第6号(2014年11月)に発表した。頭文字のSとNの対話形式で、テンポよく展開する注釈だが、何よりこの二人がキャラクター化していて、笑えるのである。どちらかというと、了子さんが攻め、眞二さんが受けている。了子さんから、「あの私はあくまで虚構です」と学会の際にうかがったが、虚構とはいえ、ありそうなやりとりであるところが可笑しいのである。
そんな注釈の最初に、今回は付けの参考書の紹介がある。眞二さんの編んだ『近世初期刊行連歌寄合書三種集成』がひとつで、もうひとつはおなじみの『俳諧類船集』である。いまでいう連想語辞典。
ただし、連歌の場合の連想語は「寄合語」というのに対し、非和歌的な連想語を「付合語」という。この区別を最初に説明してくださっているが、「寄合」と「付合」の違いを、よく聞かれるからなんだそうだ。
しかし、息が合っているというのか、対談形式のこの原稿はどういう経過をたどって完成しているのだろう?リアルな会話を元にして成っているわけではないというが。もしかしてメールでのやりとり?んー、謎だ。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月28日

トトントン、狂講深井志道軒

江戸中期の宝暦という時代、仮名読物史を繙けば「奇談」の時代である。通行の「文学」史でいえば、「談義本」の時代といえよう。
その時代に、江戸で最も人気があったのが、団十郎と志道軒。
団十郎は誰でも知っているだろうが、志道軒って誰?と、ほとんどの方が首を傾げるだろう。
しかし、この男、談義本にしょっちゅう描かれる。当時並々ならぬ人気を誇った浅草の名物講釈師である。
なにが人気だったかといえば、過激なバレ談義、当世評判を含む巧みな話芸であったらしい。その数々の伝説は虚か実か。江戸時代ではかの平賀源内が『風流志道軒伝』を著したが、その表題をもじった中村幸彦先生の「不風流志道軒伝」があり、それに続く中野三敏先生ほかいくつかの論考がある。
しかし、志道軒について一書を成したものはまだなかった。

太平書屋主人の斎田作楽(さいたさくら)氏は、先に志道軒の著述・関連資料を集大成した『志道軒全書』(太平書屋)を出版されていたが、このたび、それらの資料を駆使して、この稀代の講釈師の全貌を明らかにする『狂講深井志道軒』(平凡社、2014年10月)を上梓された。

 トトントン、とんだ江戸の講釈師「志道軒」研究の、現時点での決定版である。


posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月27日

無料の文楽入門教室(池田市)

和漢比較文学会と同日だが、大阪府池田市で、無料の文楽入門教室が開催される。

文楽協会による人形使いの解説や体験、また演目(抜粋)を上演し、文楽の魅力を分かりやすく解説するということだが、演目は『伊達娘恋緋鹿子』より「火の見櫓の段」である。八百屋お七の世界ですな。
とき  平成26年11月29日(土)
  午後2時〜3時30分 (開場 午後1時30分)
場所 池田市立くれは音楽堂
定員 240名(先着順)
申込み方法 電話にて事前に生涯学習推進課(072-754-6295)まで申込みということ。

追記:「くれは音楽堂」ってどこやねん?という突っ込みが入ってもおかしくないですね。失礼しました。池田市姫室町10−1、呉服小学校内。です。
posted by 忘却散人 | Comment(1) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

和漢比較文学会例会(西部)のお知らせ

和漢比較文学会例会(西部)が今週土曜日(明後日)大阪大学で行われますので、ご案内。
私は参加いたしませぬが。

第125回 和漢比較文学会例会(西部)のご案内
【開催日時】2014年11月29日(土) 13:30〜17:15
【会場】大阪大学豊中キャンパス
研究発表:13:30〜17:15
於:文学研究科本館(2階)大会議室

○大江匡衡と大江以言の詩文について─写本『江吏部集』所載の逸話から考える─
早稲田大学大学院 呂天雯氏
○『紫式部日記』─「人の忌むといひはべる鳥」考─
熊本大学大学院 伊崎久美氏
○宇田栗園と漢詩
佛教大学非常勤 新稲法子氏
○菅原道真「舟行五事」再読―「讃州客中詩」の形成と「詩人無用」論―
梅花女子大学 三木雅博氏

以上
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月26日

学会雑感

今回の日本近世文学会では事務局代表倉員正江さんの「仕切」が凄いと評判だった。
私も事務局をしたことがあるからそれがわかる。
 委員会をスムースに運びつつも、重要な点はきちんとゆっくり説明し、笑いもちゃんと取る。
 それだけではない。私が特に感心したのは発表の司会者の選択である。これは事務局の仕事であるが、今回、おそらく誰もこれまで考えつかなかったはじめての試みがなされた。
  つまり、6つのブロックすべてを、ジェンダーに配慮してペアにしたということである。委員会でこの説明を受けた時に、いたく感心した人は少なくなかったはずである。
 また学会事務局がずっと保管し続けていた、学会誌バックナンバーの無料頒布に踏み切った。これも若い人にはとても助かる決断である。
 懇親会では、急逝された本来の開催校の世話人二村文人さんを偲ぶ意味もあって、倉員さん自ら試飲し(ここがまた倉員さんしかできないことだろう)厳選した富山の酒がふるまわれた。
 全体として、事務局・開催校として、参加者への細かい配慮が随所に見られた。もちろん、会場校責任者の佐藤至子さんの運営能力も恐ろしく高い。教室配置や、休憩室へのモニターの設置など、隅々までゆきわたった配慮を感じたのである。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月25日

『日本文学』10月号

学会では発表をきくだけではなく、新刊研究書のチェック、原稿や発表を頼んだり頼まれたり、また学生を紹介したりされたりなど、いろいろなことがある。
そのいろんなことのなかのひとつ。『日本文学』10月号を執筆者のお一人である井上泰至さんからいただいた。井上さんの「写本軍書の機能」は、近著の『近世刊行軍書論』で扱った刊行軍書に対して写本軍書を扱い、その機能についていくつかの角度から述べたもの。造本による権威化、蔵書されることによる権威化、当代までの系譜の歴史的位置づけ(つまり権威付け)、系譜への乗っかりと教訓志向、そのための捏造、記録としての知的保存、読まれるよりも書かれる享受など、軽快に論じてゆく。軍書研究の第一人者ならではの写本軍書の見取り図である。
紀行文研究の第一人者である板坂耀子さん「案内記と奇談集(江戸時代の紀行における写本と版本」は、圧倒的に写本が多い紀行文の中で、刊行されやすいのは案内記という実用書的側面をもつか、奇談集という娯楽書的側面を持つもので、いわゆる日記のように日付順に一人称の和文で書かれた紀行というのは板行が難しいのだという。
佐藤深雪さんの「『春雨物語』の枠構造」。〈枠物語〉として『春雨物語』を論じるもので、「完了の助動詞の使い方に注意して」考察されたもの。特集テーマの「出版時代の写本」にぴったりくるのはむしろ佐藤さんのかつて『読本研究』に投稿された『春雨物語』論の方で、その時は、刊本メディアに対抗する戦略としての写本主義といった構想で論じておられた。それが2007年に大阪大学で行われた秋成のテクストの生成と変容に関するシンポジウムでも議論になった。しかし、その方向での主張は影をひそめ、王朝物語体の文体に準拠していこうとする方向性と、そこから外れていこうとする方向性をともにもっている「短編小説集」として考察されている。これが以前の主張とどう連続するのか、それはわかりにくかった。まあ連続しなくてもかまわないのだが。それより、知る人は知る例の新しい秋成書簡が、まさしくこの特集テーマに相応しい内容であったことが、懇親会会場のあちらこちらで話題になっていた模様である。これについては、いずれ学界でも表に出てくるだろう。

 服部仁さんによる木越俊介さんの『江戸大坂の出版流通と読本・人情本』の書評だが、なかなかの辛口である。最後のあたり『西山物語』を読本の起点とする考え方について「あえて『西山物語』を読本の嚆矢とする必然性はないのではないだろうか」と批判されているが、本ブログで私はまさにこの点を評価したので、私自身への批判でもあると勝手に受け止め、ここで少し「反論」しておきたい。木越さんが「『西山物語』を江戸読本の起点として据えることにしてみたい」とするのは「あくまで作業仮説として」であり、「読本にとどまらず19世紀の江戸における長編小説群に広く伏在する」「伝奇と情話を含む巷談街説の問題」をクローズアップし、読本史を相対化し、複眼的に捉えようとする試論であって、『英草紙』に代えて『西山物語』を読本の嚆矢に位置づけようとするものではないのである。服部さんもそこはわかってての批判的叙述だとは思うが、ちょっと誤解を招きかねないかと思った次第である。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月24日

学会記(日本大学大会)

22・23日は日本大学文理学部で日本近世文学会が行われた。今回の学会は、本来富山大学で行われるはずだったが、会場校の世話人であった二村文人さんが急逝され、急遽事務局の日大が会場を引き受けてくださった。開始にあたって黙祷がささげられた。

きわめて短い準備期間と、事務局のお仕事も同時に行いながら、完璧に運営されたことは驚嘆に値するといってよく、そのご尽力には本当に頭が下がる。心から御礼申し上げる。

 12本の発表は、仮名草子・徒然草受容・源氏物語画帖をめぐる堂上文壇・俳諧短冊手鑑・歌学・国学者・碑文・漢詩・馬琴・落語資料・書肆吉田・書肆西村と、時代も対象も切り口も様々であった。近世文学専門でない方の発表も2本ほどあって、全体として本学会の可能性を感じさせるものであった。

 個人的には、加藤弓枝さんの吉田四郎右衛門についての詳細な調査に基づく考察、藤原英城さんのの二代目西村市郎右衛門と西村源六の書肆としての戦略を新資料を用いて提示した発表が面白かった。私の個人的な関心と重なるのことも事実だが、今回の発表の中で一二を争うものではなかったかと思う。後者は中嶋隆さんとの質疑応答も聞きごたえあるものであった。

 今回は展示がなかった分、休み時間がゆったりとして、発表会場のすぐ近くに店を出すことができた本屋さんにとってはよかったのではないかと思った次第。以上恒例の学会記でした。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月17日

『新古今和歌集の新しい和歌が見つかった!』という本のこと

鶴見大学が購入した古筆手鑑の中に、これまで全く知られていなかった『新古今和歌集』の新しい歌が見つかったという「事件」は、一年ほどまえ、新聞各紙で報道された。今回久保木秀夫・中川博夫両氏による、その資料の紹介と学術的な検討結果が、ブックレット風の装幀で、800円という安価で笠間書院から出版された。『新古今和歌集の新しい和歌が見つかった!』

問題の切(断簡)は、藤原隆方の和歌が記されたもの。鎌倉初期の書写で、寸法・筆跡・書式などから、これまで11葉の断簡の存在が確認されている伝寂蓮筆『新古今和歌集』切のツレに間違いないだろうという。ところが、この和歌「さのみやはつれなかるべきはな(る)かせに山たのほほりうちとけねかし」は、従来『新古今和歌集』の中には見いだされない和歌であった。考証によってこの歌は巻十一恋一に入集し、その後、切り出された新出異本歌であるということになるそうである。表紙にも書いているような、この書誌学的・文献学的な考証過程は、推理小説と同質の面白さがある。

このような、入手しやすい、図版多数の本にしてくださってまことにありがたいことである。鶴見大学の文献書誌学への理解は、昨今、実に尊いことである。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「書と生きる」展覧会所感

先週のことだが、慶応大學三田キャンパスにおいて開催されている展覧会「書と生きる」を家人とともに見る。新幹線の車中で、本展の企画者の一戸渉さんに連絡。大学にいらっしゃれば解説してもらおうというわけだが、わざわざ古典会会場から駆けつけてくれると返信があった。会場に到着すると、すでに一戸さんが待っておられた。

センチュリー文化財団寄託品の書の展示であるが、所蔵者であった旺文社社創業者の赤尾好夫氏のブレーンは小松茂美氏であったそうで、その小松氏の蔵書印の捺されたものもあった。もう10回以上しておられるということで、一戸さんの展示品解説は立て板に水。こちらの質問にも即時返答。まことに贅沢な観覧となった。

三十六歌仙の色紙帖、石川丈山の詩巻などため息の出るような素晴らしい書はもちろん、1点1点がいわくつきの展示品で、面白いことこの上ない。家人の研究している賀茂季鷹の書法の草稿など、家人のために展示したのではと思われるようなマニアックなものである。

他にも近世前期の著名人の短冊の、寛文から元禄ごろの相場が書いている「有題名乗短尺代付」、江戸後期から明治にかけての、ある道具商の売買記録である「書画骨董値付帖」、近衞流・定家流・光悦流を書きわけた『三家筆法消息』など興味深い。個人の書としては、南畝の「人間万事西行猫」(人間万事塞翁が馬のもじり)の迫力、津田休甫の達筆とはとてもいえないが、味のありすぎる飄逸。30点ほどの小さな展覧会だったが、記憶に残るものであった。一戸さんに感謝申し上げる。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月12日

蒹葭堂日記勉強会

『蒹葭堂だより』14号(蒹葭堂顕彰会、2014年11月)によれば、20代の学生と社会人5人が集まって、『蒹葭堂日記』の勉強会をやっているらしい。2013年の春から、ということであるが、はじめた動機も純粋な向学心によるもので、それぞれがテーマをもって臨んでいるという。本当に、素晴らしいことである。
 メンバーの方が、勉強会についての所感を記されているが、その中で黒澤暁さんが、参考になる資料として、我々の科研報告書『近世上方文壇における人的交流の研究』中の、「上方文壇人的交流年表」を有用なツールとして使ってくださっていることを書かれている。このような形で利用していただいているのは、本望であり、心から嬉しく思う。この場を借りて御礼申し上げる次第である。
posted by 忘却散人 | Comment(2) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

室町連環

鈴木元さんの論文集『室町連環―中世日本の「知」と空間』(勉誠出版、2014年10月)。
とある選考委員会で年1回ご一緒する鈴木元さん。物静かではあるが、ラディカルであり、過激でもあると私は見ている。
その面目躍如だな、という感想が浮かんだ本書。
鈴木さんは、連歌研究者ではなく「文学」研究者だなと。
根底、基層、基盤ということばがよく出てくるのはおそらく偶然ではない。
そして、地域、場、空間というものの重視。第1部は「中世関東の時空」と題される。
評するには私の力量を遙かに越えている。

『室町連環』というタイトルは卓抜だと思う。かつて「室町ごころ」「室町記」というタイトルの名著があったが、「室町連環」というのも、強烈な印象を残すタイトルである。江戸連環とか鎌倉連環という語はなにか嘘っぽいが、「室町連環」というタイトルは不思議にリアルである。もちろん、「連歌」がその根底にあるからだろうが。そして論文集の構成もまた「連環」なのである。

同じ著者の新書で『つける』(新典社新書、2012年)という、これまた秀抜なタイトルの連歌入門書がある。非常に平易に書かれた素晴らしい入門書だが、ここでも、鈴木さんの志向は、根源的なものへ、である。それがタイトルに現れている。


posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月11日

木村八重子先生によるレイン文庫の黒本青本報告

ホノルル美術館所蔵のリチャードレイン文庫の調査は、中野三敏先生総指揮のもと、松原孝俊団長をはじめとする調査員により科研プロジェクトとして着々と進められているが、このたび、木村八重子先生ご調査分の草双紙についての報告書が、なかなか素敵な装丁で刊行された。ただし非売品。発行部数も少ないとかで、団長から「要る?」と言われて、「はい、お願いします」と、ようやく入手した。
木村八重子・中野三敏編『ホノルル美術館所蔵 黒本青本』(九州大学ホノルル美術館所蔵和本調査団発行)がそれ。A5版ソフトカバー232頁。
調査された草双紙の中で、『日本小説年表』に記載されているけれども実在が確認されていなかった黒本青本、また『日本小説年表』自体に記載のない黒本青本が、数え間違えでなければ25点報告されている、図版にもたっぷり紙面を割いている。また稀少な赤本2点についても。
目玉は『浅草名物ゑづくし』。「頭書に一休の道歌と志道軒の返歌、下に浅草寺の名物や諸神を描く盛りだくさんで珍しい形式の作品」。富川房信画。明和二年刊。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

日本漢文学プロジェクト

合山林太郎さんが、日本漢文学プロジェクトのブログを開設しました。
http://nihonkanbungaku.blogspot.jp/
国文学研究資料館の「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」の公募共同研究に採用された共同研究です。
日本漢文学のカノン形成の研究、そして漢文学の国際化をめざす方法の模索などを考えておられるようです。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月10日

キャンベルさんの講演会で小冊子が無料配布される

既報したとおり、大手前比較文化学会(大手前大学)が主催するロバート・キャンベルさんの特別講演会が近づいてきた。その講演会にちなみ、同大学図書館が、素晴らしい手作りの小冊子(B6判カラー)を作っている。来聴者には無料で配布されるという。
CDでいうところの両A面というのか、片方が「ロバート・キャンベル先生著作資料」、もう片方が、図書館司書がオススメする「震災と復興を読む」の読書案内である。
キャンベルさんの著作紹介は13ページに、編著書8、論文等25、電子データ36。それに加えて37本の「本学所蔵なし」の論文・記事を収めている。私のような者にも大変便利な著述目録になっているが、キャンベルさんフアンには必携のデータとなるだろう。また震災と復興に関する図書案内もよくできていて、75点(当図書館所蔵のもの)すべてに図書館の司書の方が目を通しているらしく、自身の言葉で推薦文をしたためている。しかも、これは特別なことではなく、同図書館では、講演やゲストスピーカーの授業などがあるたびに、このような小冊子を作成しているらしいのである。
 この冊子を作成したのは平原麻唯子さん、図書館の本の展示などを統括したのは守屋祐子さんである。手作りなので紙折りなどで多くの方が協力しているらしい。

 まだ席が少しだけあるということであるので、もう一度案内をしておきます。

講師 ロバート・キャンベル氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)
演題 復興の先にあるもの 都市災害と日本文学の関連をめぐって
日時 平成26年11月21日(金) 15:30〜17:00 (開場15:00)
会場 大手前大学 さくら夙川キャンパス A棟4階 A44教室
参加費 無料 
定員300名
申し込みが必要で、Webからの場合、http://www:otemae.ac.jp/へ。

posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月04日

鹿倉秀典さんのこと

近世音曲研究者の鹿倉秀典さんの訃報が今朝届きました。長く闘病されていましたが、必ず快復し、教壇に立つという希望を捨てていませんでした。その強さに私たちが励まされることもありました。

鹿倉さんが私より少しだけ年上ですが、互いにタメ口で話してました。パソコン通信時代からの付き合いでした。その時は「□ら拝」。つまり「□(しかく)ら拝」と署名してました。その時はやっていたのかな、鹿倉さん作の回文で「浦和は田舎と家内は笑う」というのがあって、あんまり傑作なので今でも覚えています。
 
なぜかは忘れたのですが、根津の串カツ屋さんに連れて行ってくれて、そこからさらに2軒くらい行って、6時間くらい二人で飲んだことがあります。二人だけで飲んだのはもう一度あって、忍頂寺文庫に関する共同研究の最初に鹿倉さんにレクチャーをしてもらうことになり(それは国文研でやってもらった)、そのための下調査に阪大に来られた時です。国文研のレクチャーの時の懇親会では奥様もお見えになって、なんて素敵な奥様だろうと、みんなで言ってました。国文研公募研究の忍頂寺文庫プロジェクトは4年かかりましたが、その最初が鹿倉さんのレクチャーだったなあ、と改めて思い出します。合掌。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする