2015年11月30日

蘆庵・蓮月・鉄斎をつなぐのは

2015年12月6日(日)、宝塚市立中央図書館で、第4回聖光文庫文化講座。13時45分から「小沢蘆庵・大田垣蓮月・富岡鉄斎」という演題でしゃべります。ちと荷が重い。15時からは、河田昌之先生が、「和泉市久保惣記念美術館と鉄斎―三幅の掛軸と中国鏡―」でお話しされる。
 蘆庵と蓮月と鉄斎を繋ぐのは「心性寺」である。蘆庵の墓所心性寺に蓮月が鉄斎の父の斡旋で隠棲していたことがあり、鉄斎は蓮月に従って同居していた。その心性寺は明治に入って廃され今はない。蓮月が蘆庵に私淑していたことは、蓮月が熱心に蘆庵の歌集を読んでいたことから明らかであるし、加藤弓枝氏の報告によれば蘆庵50回忌の歌会に蓮月も出詠している。
 蘆庵はもちろん秋成と深い関係があるが、蓮月尼は・・・。秋成に歌を学んだとされるのだが、それを裏付ける資料はない。村上素道の「大田垣蓮月傳」によれば鉄斎が語ったことがあったようだが。鉄斎はその祖先の富永維徳が蘆庵門人であるし、秋成肖像を模写しているし、その息の謙蔵はいわゆる富岡本春雨物語を所持していた。いろいろと繋がりのある話だが、まとまりは・・・ないですよね。数珠繋ぎのような話にならざるを得ないのだが、お許しを。
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2015年11月28日

ふたたび西鶴in京都

京都近世小説研究会の12月例会が下記のように催される。普通ここに告知はしないのだが、今回は会場・発表者ともに、西鶴ワークショップ以来のスペシャル版となるので。そして発表内容も西鶴特集である。
今回は、東京の、西鶴研究者ではないけれど、西鶴研究に積極的にかかわってこられた、まあどちらかというと秋成研究者のお二人をお招きしてやることになった。その発表題目もなかなか挑発的と見える。期せずしてこういう成り行きになったのであり、西鶴ワークショップ第2弾という意識ではなかった。しかし、会場も京都駅近くとし、遠い方でも西鶴に興味ある方は是非いらしていただきたい。終了後の懇親会にも。参加希望の方は、研究会・懇親会への参加希望を書いて、下記の研究会のアドレス(担当久岡明穂さん)までお申込みいただきたい。

京都近世小説研究会(12月)の御案内
  記
日時 12月20日(日)

■研究発表会 14時〜17時半 会費500円
キャンパスプラザ京都 2階第3会議室 (京都市下京区西洞院通塩小路下る)
http://www.consortium.or.jp/about-cp-kyoto/access

井上泰至氏「『武家義理物語』を面白く読む/読めなくする視点
―巻二の四・巻六の一を中心に―」

木越治氏「よくわかる西鶴─『好色五人女』巻三の文体分析の試み」

参加を希望される方は、12月10日までに、
kyotokinsei(アットマーク)gmail.com 久岡(京都近世小説研究会幹事)まで
お知らせ下さいますようお願い申し上げます。
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2015年11月21日

日仏文学・美術の交流

 大手前大学夙川キャンパスで、今日から行われている日仏文化交流シンポジウム、「日仏文学・美術の交流―トロンコワ・コレクションとその周辺 その2」は、明日まで。一昨年行われたシンポジウムの続編で、添付のようなプログラムである。
 トロンコワは、フランスにおける日本美術史研究の黎明期に活躍、明治27年から43年にかけて日本に滞在し、多くの業績を残したが、一般にはほとんど知られていない。しかしクリストフ・マルケ氏によって、そのコレクションの全貌が明らかになっている。トロンコワ・コレクションの多くを所蔵する、パリ国立高等美術学校と大手前大学は交流協定を結んでおり、2年前にその締結記念のシンポが行われた。
 今回は、トロンコワコレクションの展示もあり、マルケ氏のトロンコワ旧蔵の京伝『近世奇跡考』草稿本の発表も今日あったようだ。明日も引き続き興味深い発表が予定されている。なお、コレクションの絵画をかなり図版にした案内パンフレットを来場者に配布されるということである。otemaejfcis.pdf
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2015年11月06日

国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍」

2016年2月17日(水)、大阪大学豊中キャンパス内、大阪大学会館アセンブリー・ホールで、国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍―歴史的典籍の画像データベース構築とくずし字教育の現状と展望」を開催いたします。告知第1弾ですが、今後も何度か告知いたします。
また、学会や研究会などに関係者がチラシを持参し、配布させていただくことがございます。よろしくお願いいたします。

この国際シンポジウムですが、世界各地から「画像データベース構築」と「くずし字教育」に関わる研究者・ライブラリアンをお招きし、その実践についてお話しいただきます。チラシをつけておきます。裏もあります。英文版です。

○国文研古典籍共同事業センターの山本和明さんが、国文学研究資料館の古典籍デジタル化戦略の現在について、○京大理学研究科の中西一郎先生が、古地震研究におけるくずし字解読の実践について、○阪大文学研究科の矢田勉さんが、変体仮名の文字コード標準化についてお話くださいます。海外からは、○ソウル大の金時徳さん、○ハイデルベルク大のユーディット・アロカイさん、○ケンブリッジ大のラウラ・モレッティさん、○UCLA図書館のトッド・グラボーンさんとバイアロック知子さんらが、それぞれの実践についてお話ししてくださいます。

そして今回の目玉は、プログラマにして京大文学研究科博士後期課程に在学中の橋本雄太さんを中心に、我々のプロジェクトチームで開発している「くずし字学習支援アプリ」のデモを行うことでしょうか。興味のあるかた、今から2月17日(水)は予定を空けておいてください!

今回の催しは、大阪大学文学研究科・国文学研究資料館・科研(挑戦的萌芽研究)主催、日本近世文学会後援です。国文学研究資料館の今西館長もお見えになり、閉会のご挨拶をしていただきます。
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2015年11月05日

日本古典籍デジタル化に関わる国際シンポジウム

日本古典籍のデジタル化と、くずし字解読(学習)に関わる話題が今年ほど出てきた年はないだろう。
今や、この動き、世界的にトレンドであることは、UCLAで行われたくずし字ワークショップや変体仮名アプリの開発、そしてケンブリッジ大学が行っている和本リテラシーのサマースクールなど、もはや否定できないだろう。日本でも日本近世文学会が和本リテラシーニューズを創刊し、ゲーム界でも「刀剣乱舞」のユーザーの中にくずし字に関心をもつ人が少なくないという。我々のくずし字教育プロジェクトにも大きな反響があり、プロジェクトの公式ブログ(Google+)の閲覧数は1万を超えている。
といいつつ、もちろん大部分の一般の人からみれば、「はあ?なにそれ?」というところかもしれない。
そういう現実はきちんと見詰めつつ、ともかくも前向きに進みましょう。

さて、世界的にトレンドだなんて大げさなと思われる向きもあろうが、下記のような国際シンポジウムが行われるのである。ドイツのハイデルベルク大学。初日はなんと、「くずし字教育の現在―ヨーロッパと日本―」である。まさにこういうことで意見交換される時代になっているということなのである。
 やはり国文研の大型プロジェクトの発進が、この動きを加速していることは確かである。原本で読みたいというのは、人間の本能に近い好奇心であって、読めるかもしれない!と思ったら、その気持ちは抑えられないだろう。くずし字アプリの性能向上と普及で、英語学習のように、くずし字学習ができるようになれば、日本の古典籍デジタル資料の活用が一気に増加することもありうるだろう。

2015年11月12-14日 「日本の歴史的典籍とそのデジタル化 −研究及び教育に与える影響」
− Japanese Pre-Modern Texts and their Digitalization: Effects on Research and Teaching
2015年11月12日(木)16:00 – 18:30
(会場: ハイデルベルク大学、日本学科、107番教室、アカデミー通り 4-8)
パート I: 日本古典研究のための基礎技術を教える
パネル・ディスカッション:くずし字教育の現在 −ヨーロッパと日本−
報告:ユディット・アロカイ、ドミニク・ウルナー、飯倉洋一、合山林太カ

2015年11月13日(金)
(会場: ハイデルベルク大学、マルシリウス講堂、ハウプト通り232-234)
ディスカッサント:イフォ・スミッツ(ライデン大学) ハイディ・ブック=アルブレット(ハイデルベルク大学)
パート II: 日本古典文学の射程 −研究の国際化に向けて−
10:00 ユディット・アロカイ(ハイデルベルク大学)
ドイツにおける日本古典文学の研究―伝統と展望―
11:00 盛田帝子 (大手前大学)
近世和歌の翻訳の試み
12:00 合山林太郎(大阪大学)
明清時代の中国の文学理論とその近世日本文化における影響

パート III: 日本の古典籍・歴史資料のデジタル化における新潮流
14:30 山本和明 (国文学研究資料館)
日本の古典籍のデジタル化における国文学研究資料館の戦略
「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」
15:30 奥田倫子 (国立国会図書館)
国立国会図書館のデジタル・コレクション
16:30 休憩
17:00 ウルズラ・フラッヘ (ベルリン国立図書館) ベルリン国立図書館における東アジア関係デジタル・コレクション
18:00 飯倉洋一(大阪大学)
デジタル資料を活用したくずし字読解の教育方法の開発


2015年11月14日(土) 10:00 – 12:00
(会場: ハイデルベルク大学、日本学科、107番教室、アカデミー通り 4-8)
討論:総括と今後の展望
Sponsored by the Excellence Initiative II of Heidelberg University
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