2016年02月27日

俳仙堂西村定雅

西村定雅という人は、近世中期の上方を代表する戯作者のひとりであり、俳人であるが、一般にはあまり知られてはいないだろう。私の後輩である、田邊菜穂子さんが定雅のことを調べていくつか論文を書いているし、年譜もまとめはじめている。しかし、定雅の文事をまとめて見るのに適当な研究書が存在しなかったのである。
このたび、肥田美知子氏の『俳仙堂西村定雅』(私家版、2016年2月)が刊行された。その渇を癒す本がついに出たのである。肥田美知子氏は、肥田晧三先生の奥様でいらっしゃるが、関西大学で水田紀久先生に指導を受けられ、西村定雅で卒論を書いていたとは、本書を読むまでまったく迂闊なことに存じ上げなかったのである。
本書は、著者が「家事の合間に」こつこつと書き溜めた西村定雅についての総論・年譜であり、現時点では、西村定雅についてもっとも情報量の多い研究書であると言えるだろう。
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2016年02月21日

KuLAのダウンロード数

くずし字学習支援アプリKuLAのダウンロード数の速報です。
2日で、2600を越えていました。

■ダウンロード回数(2/19時点)
iOS: 1940(うち米国69、欧州17)
Android: 726(うち米国16、韓国7、ドイツ3、カナダ・スペイン・フィンランド・イタリア各2)

iOSでは「教育(無料)」カテゴリのランキング41位、
Androidでは「教育(新作・無料)」カテゴリの1位にランクインしたそうです。

10000をめざすと言ってたら、笑われていましたが、十分達成可能な数字ですね。
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2016年02月17日

無事終了、「読みたい!日本の古典籍」

国際シンポジウム、「読みたい!日本の古典籍」は無事終了しました。
参加者は、まだ私は正確には把握していませんが、120名くらいだった模様です。

平日の午後の学術シンポとしては、大盛況の部類に入るでしょう。
ひとつひとつの発表が、実に有益で、未知の情報に満ちており、刺激の連続だった。
「#くずし字シンポ」というハッシュタグで実況ツイートしてくださった方も複数いるので、ご参照ください。

さて、課題というか、問題点の指摘もあった。くずし字学習アプリの場合、その継続性をどう担保するかということとか、人文学とITの両方に通じた人材をどう育てるか、という問題である。これについては、懇親会で、いろいろとヒントをいただき、少し希望も出てきました。

また明日、海外からのゲストを中心にワークショップを行い、今後の展望について討議する予定です。
ともあれ、参加して下さったすべてのみなさんと、会の運営をしてくれたスタッフ諸氏に深謝申し上げます。
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2016年02月16日

いよいよ明日、国際シンポ「読みたい!日本の古典籍」

いよいよ明日に迫りました。

大阪大学豊中キャンパス大学会館アセンプリーホールで、11時から。
豪華メンバー集結!

国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍」

〇国文研の古典籍デジタル画像公開事業戦略の現在!
〇古地震学第一線の研究者が読む古文書・古記録!
〇変体仮名の文字コード標準化とは!
〇ついに公開!学習(練習)・テスト・質問ができるくずし字学習アプリ!
〇ソウル大のくずし字教育最前線!
〇ドイツにおける日本古典文学研究の今!
〇ケンブリッジ大学和本リテラシー教育の挑戦!
〇UCLA図書館の提唱するデジタルヒューマニティズ!

興味津々の8本立て。
主催大阪大学文学研究科・国文研・科研(代表飯倉)

和本リテラシーは世界に広がっています!
詳細はこちら

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2016年02月14日

上田秋成新考 くせ者の文学

 近衞典子さんの論文集『上田秋成新考 くせ者の文学』(ぺりかん社、2016年2月)が刊行された。
一見、脈絡のない諸論文から成り立っているように見えるが、秋成の古典受容と作品の当代性というテーマで貫かれている。初出で大体読んだものばかりだが、これは私の関心のあるところと重なる部分が多いということもあった。秋成の作品は、秋成が読んでもらいたい第一読者を探り、その共通理解の部分を元に作品論を構築すべきであるという考え方もまことに共感する(もっとも、これは秋成だけではなく、近世文藝のかなりの範囲に及ぼすことができるかもしれないとこのごろ思っている)。
 第二部の大坂騒壇と秋成の関係の探究は、中村幸彦先生の「宝暦明和の大坂騒壇」や「癇癖談に描かれた人々」を継承するお仕事で、割と秋成研究では蓄積の薄いところ、またなかなか分からないところだけに、貴重な成果である。また最近学会発表されて好評であった「吉備津の釜」論や、正親町三条公則との文芸交流を作品の読みによって明らかにしていくあたり、勉強になる。
 近衞さんは、大阪大学に1年間内地研修でいらっしゃったことがあり、研究室行事にも積極的に参加してくださったし、上方文藝研究にも何度も投稿してくださり、合評会にも出席なさるので、わたしどものゼミでは、非常に近しい関係にある。履軒・秋成合賛鶉図は、懐徳堂記念会所蔵で、なるほど近衞さんの「鶉居」の論文に添えるにぴったりだが、表紙カバーに使ってくださるとは大変うれしいことである。
 「くせ者の文学」というのは確かに秋成という人をよく言い当てているが、近衞さん自身はどう見ても「くせ者」というイメージからは遠い。大体お名前からしてそうである。しかしお酒は滅法いける口であるようだ。今はどうかしらないけれど。こういうことを書くとまた叱られそうなのでこのあたりでとどめておきたい。
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2016年02月12日

世界のくずし字教育

2月17日(水)に大阪大学豊中キャンパスで開催される国際シンポジウムでは、くずし字アプリの発表だけではなく、世界のくずし字教育の現状を、それに関わっている方に報告していただく。サマースクールでくずし字や漢文の読み方を教えるプログラムを実践されているケンブリッジ大学の取り組み、実際に私がその授業内容を聞いて驚嘆したハイデルベルク大学でのくずし字教育の取り組み、そして軍書をはじめとして次々と研究を展開しているソウル大学金時徳氏のくずし字教育論、いずれも傾聴に値するだろう。今回は、UCLAのゲストの発表はくずし字アプリに関するものではないが、現状の情報はうかがってみたい。そして、ミシガン大学、オークランド大学、チュラローンコーン大学からも、シンポジウムに参加していただく。
 翌18日(木)には、上記のメンバーによるくずし字教育についての少人数でのワークショップも予定されている。今回のシンポジウムで、世界のくずし字教育の現状を把握し、我々の出来ることを考えていきたいと思う。
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2016年02月10日

読みたい!日本の古典籍

2月17日(水)、国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍―歴史的典籍の画像データベース構築とくずし字教育の現状と展望―」が、大阪大学豊中キャンパスで開催されます。
国文学研究資料館の古典籍デジタル化の取り組みの現在、古地震研究でのくずし字解読の試み、変体仮名の文字コード標準化、くずし字学習支援アプリKuLAの発表、韓国・ドイツ・イギリスにおけるくずし字教育の現状、デジタルヒューマニティーズと図書館の役割と、話題満載の国際シンポです。
ご興味のある方は是非ご来聴ください。入場無料、事前申し込み不要です。詳細は
こちら
さて、このシンポジウムで披露されるくずし字学習アプリケーションKuLAですが、くずし字についての概説講義、変体仮名と主要な漢字のくずし字の学習、そしてテスト機能、3つのテキストによる読む練習、さらに質問などを書き込める「つながる機能」が実装されています。またこのくずし字を学びたいという時のために、検索機能もついています。全体のガイド役は、和本リテラシーニューズのマスコットである「しみまる」がつとめていますが、テストを終わったところで、何かしゃべるみたいです。いろいろ楽しさ満載で、作ったスタッフが、やりはじめると夢中になってしまうくらいです。
一般リリース、無料ダウンロードは2月18日(木)から出来るようになる予定です。是非使ってみてください。電車の中でもくずし字の練習が出来ますよ!
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2016年02月09日

変貌する時代のなかの歌舞伎

『変貌する時代のなかの歌舞伎―幕末・明治期歌舞伎史』の著者の日置貴之さんとは、ひょんなことから、あるプロジェクトを一緒にやることになった。それもつい最近の話である。先日もミーティングでご一緒したところ。しかも、そのプロジェクトは、日置さんのテーマと関わりが深い。なんでそんなプロジェクトをおまえが、とまたまた言われそうであるが、いずれお話しする時がくるだろう。
ともあれ、そういうわけで、ありがたいことに、本書をいち早く手にすることができたわけである。私のゼミにも黙阿弥の研究を志している学生が一人いることもあり、本書の刊行を、実は楽しみにしていた。
ところでA5判346頁14本の論考(書き下ろし5本)からなるこの大著を、まだ20代の人が書いたというのは、やはり驚きである。こういう例は近世文学研究では、ここ30年くらいはきいたことがない。長島弘明さん・古井戸秀夫さんの指導を受けた人だから、もちろん理論も実証もきちんとしている。
私には本書を評する資格はないが、報ずる価値のある本であることは確かだろう。笠間書院刊、2016年2月。そういうわけで、早速報じた次第。内容について本当になんにも触れてなくてすみません。早いだけが取り柄。
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2016年02月08日

近世における天皇歌壇とその周辺U

研究会のお知らせです。科研の研究会ですが、私、この科研の連携研究者になっております。去年とほぼ同時期に開催となりました。ご関心のある向きは是非。

科研研究会 近世における天皇歌壇とその周辺U
日時 2016年2月28日(日) 14:00〜17:20
会場 大手前大学 さくら夙川キャンパス A棟2階 A24a教室

研究発表
1、一戸 渉(慶応義塾大学斯道文庫 准教授)  14:00〜14:30
  題目:「賀茂社家岡本家文書における入木道関係資料」
  質疑応答                  14:30〜14:45
  ディスカッサント 盛田帝子(大手前大学 准教授)
2、青山 英正(明星大学 准教授)       14:45〜15:15
  題目:「孝明天皇の和歌と志士」
  質疑応答                  15:15〜15:30
  ディスカッサント 合山林太郎(大阪大学 准教授)
        (休憩 20分)
3、加藤 弓枝(国立高専機構 豊田高専 准教授) 15:50〜16:20
  題目:「正保版二十一代集と堂上歌壇―出版背景を中心に―」
  質疑応答                  16:20〜16:35
  ディスカッサント 勢田道生(大阪大学 特任講師)
4、鈴木 淳(国文学研究資料館 名誉教授)   16:35〜17:05
  題目:「妙法院宮真仁法親王と六帖詠草の構想」
  質疑応答                  17:05〜17:20
  ディスカッサント 神作研一(国文学研究資料館 教授)
総合司会 大阪大学 教授 飯倉洋一
  展示 妙法院宮真仁法親王サロン関係資料
主催:科学研究費基盤研究(C)「光格天皇を中心とする堂上歌壇の実態と文芸ネットワークについての研究」(研究代表者:盛田帝子)
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