2016年04月23日

ハイデルベルクに来て1週間

ハイデルベルク大学の日本学の大学院生対象のゼミナールを2コマ担当するという教育活動のため、4月15日に現地到着。ちょうど1週間が経った。
 こちらは朝方はまだひんやりするが、昼間は陽射しが暑く感じられるくらい。季節的には一番いいとされている。ハイデルベルクは東西にネッカー川が流れ、川の南側が旧市街。川の堤を歩くと、八重桜が何本も生えている。広い河原は美しい芝生で、昼間は多くの人が寛いでいる。ハイデルベルクの有名な古城も川の南側の山手にある。大学は街中に散在する格好である。街の中心を川と平行にハウプトシュトラッセという通りがあり、メインストリートという趣きである。その西はずれ近いところを南北にアカデミアシュトラッセという通りが走り、日本学科はその通りに面している。
 私の住んでいるゲストハウスは、ネッカー川の北側の、ノイエンハイマーフェルトとうところにあり、ヤパノロギーまでは徒歩で45分くらいである。貸していただいている自転車で通勤することもあり、堤を散策気分で徒歩で行くこともある。川には、観光遊覧船や、貨物船や、ヨットや、カヌーなどが往来している。
 日本学の学生の数は全部で200人くらいだろうか。そのうち100人ほどが、日本でいうオリエンテーションに顏を見せていた。私の授業は、こじんまりしたもので、上田秋成の作品を読むゼミナールに数名、江戸時代の古典籍を読むスキルのゼミナールに数名(ただ、このゼミナールは初回の週は開講しないとアナウンスされていたため、来ていない学生もいると聞いたので、2週目を見ないとわからない)といったところ。日本語能力は高く、中には日本人もいる。しかし、日本古典文学を専攻している院生はいまのところ受講していない。彼らがどれだけ秋成やくずし字に関心をもってくれるか、楽しみである。
 ヤパノロギーの中では、日本語が公用語みたいな感じで全く不自由はしない。もちろん一歩外に出れば、日本語など通じない。しかし私は日本語しか使えないから、あとは10数語のドイツ語と、きわめてわずかな語彙しか知らない英語でサバイバルしていかねばならないのである。もっとも助けてくださる方がたくさんいるので、なんとかやっている。もちろん、一人で買い物をしたり、食事をしたりということは、既に何度も体験し、スーパーやパン屋での買い物はなんとかなる。しかし流儀の違う所がいろいろあるので、面白い。
 緑の党が導入したというリサイクル促進システムが、中でも面白い。ペットボトルや缶ビールには、あらかじめ25セントが容器代として上乗せされていて、その料金を払うのだが、しかるべき回収箱に入れると、1つにつき25セントの金券が出てくるのである。これは金券で、買い物をすればおつりがもらえるという。この仕組みで、ポイ捨てはほとんどなくなったと聞いた。
 ちなみにレストランで食事をする時、水などがサービスで出てくることは基本ない。大学食堂でも水やお茶のサービスはないのである。1週間暮らしたので、いろいろと慣れてきた。昼は外食かテイクアウト、夜は自炊または買ったお惣菜という感じある。ビールが日本でいえば500ミリリットルで100円とかもっと安かったりする(しかもこれも25セント上乗せの値段で、である)ので、ついつい買ってしまう、つまり飲んでしまいますね。
 研究室も相部屋ではあるが与えれれている。経済地理学で、日本の人口縮小地域を研究している、エリス先生(男性)である。この間、二人でこの時期の名物であるアスパラガスをランチし、そこでいろいろ話をして面白かった。とても親切で研究熱心・教育熱心な方である。授業を覗くと学生で溢れていた。私たちの隣が印刷室で、PCがプリンタとネットワークで繋がっていて、なかなか便利である。これはゲストハウスからでも出来てしまう。
 それにしても、ここまできても、大学や、その他のお仕事のメールはひっきりなしに来る。なかにはありがたいメール、嬉しいメールもあるけれど。今朝なども午前4時に起床したというのに、日本時間では午前11時で、みなさんお仕事真っ最中だからか、次々にメールが襲ってくる。いろいろ処理していると、食事を挟んだとはいえ、あっというまに6時間たっていたのにはびっくりした。今これを書いている時間は日本は寝静まっているから、おだやかである。まだ、日本の用事でやらねばならないことがいろいろある。
 それにしても忘れ物は相変わらずで、今日は昼食に出るのに財布も持たずお借りする羽目に。また研究室のPCに仕事一切が入っているUSBメモリを突っ込んだまま帰ってしまうなど。それでも、みなさんのおかげで大過なくすごしているのは、御礼の申し上げようもないくらいにありがたいことである。それではまた。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする