2017年02月28日

蘆庵自筆本六帖詠藻の翻字出版

 和泉書院から、『研究叢書486 小沢蘆庵自筆 六帖詠藻 本文と研究』(蘆庵文庫研究会編 2017年02月)が刊行された。B5判、788頁のずっしりと重い、学振研究成果出版助成図書。蘆庵文庫研究会メンバーは、大谷俊太・加藤弓枝・神作研一・盛田帝子・山本和明と私の6名。たいへんな事業だった。数年前蘆庵文庫本(現在京都女子大学所蔵)の翻字を科研報告書(またはCD)として出版したが、今回は、人名索引・初句索引と解説を完備し、底本も静嘉堂文庫の蘆庵自筆本に拠った決定版である。
 
帯には次のように記されている。

「蘆庵の神髄、いよいよ
その和歌、およそ17000首。歌論家として知られる小沢蘆庵(1723‐1801)の、和歌の全貌を初めて翻印公刊。歌論的言説も、連作の妙味も、妙法院宮真仁法親王や上田秋成との雅交も、あるいは双六歌や沓冠歌などの〈遊び〉も、蘆庵の日々の和歌の営みが、すべてここに明らかに――。
蘆庵自筆の静嘉堂文庫蔵本(50巻47冊)を底本とし、他本と校訂をして翻字。加藤弓枝「自筆本『六帖詠藻』と板本『六帖詠草』」ほか3本の論考を併載し、「人名索引」「和歌連歌/漢詩初句索引」を添える。収載された700名を超える人名はまさに蘆庵の交遊圏そのもの。蘆庵の和歌的生活がつぶさに知られて貴重である。
こたびの公刊は、かつてこの難事に挑み、蘆庵文庫本(現京都女子大学図書館蔵)を底本として全巻の翻字と他本との校合を終えながらも公刊を果たし得なかった医者にして蘆庵研究の先達、中野稽雪・義雄父子の意思を引き継いだ、いわば60年越しの宿願の成就にほかならない。」

 研究者の中でも知る人は知っているが、この『自筆本六帖詠藻』は、蘆庵の歌の全貌が知られるだけではなく、近世後期上方文壇の人的交流を明らかにする非常に貴重な資料。中野稽雪・義雄父子の思いと、それを引き継いだ我々の活動の軌跡については、大谷俊太さんの後語に詳しく記されている。関係者はたぶん涙なくしては読めない文章である。以下は目次

緒言―近世和歌史と小沢蘆庵― 神作研一

第一部 本文編 編集・校訂 飯倉洋一・大谷俊太・加藤弓枝・神作研一・盛田帝子・山本和明
 翻字凡例
六帖詠藻 
 春一〜春十一
 夏一〜夏六
 秋一〜秋十
 冬一〜冬六
 恋一〜恋三
 雑一〜雑十三
 
第二部 研究編 加藤弓枝
はじめに
論文1 自筆本『六帖詠藻』と板本『六帖詠草』 
論文2 小沢蘆庵の門人指導―『六帖詠藻』に現れる非蔵人たち―
論文3 『六帖詠藻』と蘆庵門弟―自筆本系の諸本を通して―

第三部 索引編 大谷俊太・加藤弓枝編
索引凡例
人名索引
和歌連歌初句索引
漢詩初句索引

後書 大谷俊太

 近世後期歌壇に言及する研究者には必携。そして是非図書館・研究室で備えていただきたい。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 私の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする