2017年03月04日

役者評判記の世界

大阪大学ではゴールデンウィークにいるや否や「いちょう祭」という春の祭があって、文学研究科ではちょっとした展示を図書館で行う。日本文学研究室もこれに毎年参加し、私も赴任以来ほとんど関わっているが、このごろはテーマを選ぶだけで、ゼミの院生に、選書や解説を任せている。任せたところ、結構凝って、展示解説がどんどん詳しくなり、コラムなどまで執筆している。展示ケースは2〜3くらいで、20点程度をいつも展示する。2年前は八犬伝、去年は黄表紙だったが、今年は役者評判記を展示する。少しばかり、阪大が所蔵しているので。近松研での役者評判記の展示図録を参考にさせていただきながら、院生たちは、いま解説を書いているところである。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高松亮太『秋成論攷』

この時期は、学術書の出版が多い。研究助成図書ラッシュなのである。
 高松亮太氏の『秋成論攷―学問・文芸・交流』(笠間書院、2017年2月)も、学術振興会の研究成果公開促進費の交付を受けたものということである。この副題に関しては、私も非常に親しみを感じざるを得ない。
なにせ修士論文のタイトルに「学問」、本の副題に「文芸」、科研の課題に「交流」という言葉を使ったことがあるので。
 研究への入り方はちょっと違うが、現在のスタンスは、高松さんと私とでは結構近いのではないかと思う。つまり、秋成の本領である和歌・和文・学問を解明し、人的交流の中にその文業を位置付けようとするところである。したがって、高松さんの論文は大体は読んでいると思う。
 秋成研究の近年の傾向として、『雨月』『春雨』の作品論を論じる傾向から、高松さんのように、秋成の文業全体に目配りし、人的交流や、文芸の生成する場に着目する傾向へと、移りつつあるのを実感する。この傾向は、作品論のあり方も変えていくだろう。本書に収められる「目ひとつの神」論もそういう作品論のかたちだろう。
 私も馬齢を重ね、秋成研究を30年以上もやっている。その牛歩以下の歩みののろさに我ながら呆れはてるが、私が秋成論をいくつか書いたころに生まれた研究者が、こうやって堂々たる論文集を刊行するとは、まことに感慨深いものがある。勢いのある若手の活躍に大いに期待しつつも、私もくらいついてくっついていくつもりですので、なにとぞよろしく。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする