2017年04月28日

ニコニコ超会議に出演します。

ニコニコ動画の大規模オフ企画、ニコニコ超会議が、4月29日(土)・30日(日)の2日に亘って行われます。同動画で月1の番組を持っていて、1万数千人の視聴者をもつ、京都大学古地震研究会の「みんなで翻刻」プロジェクトが、このニコニコ超会議に参加します。題して「超みんなで翻刻してみた」。
30日の13:00ころから、しみまるキャラクターボイスを務める私めが、ゲスト出演する予定です。出演時間は1時間ほど・初心者向けにくずし字のレクチャーをします。笠間書院の西内さんと一緒です。しみまるキャップを被る可能性大。短いレクチャーを何度か繰り返します。生放送が予定されています。http://live.nicovideo.jp/watch/lv295707090?ref=sharetw
そして、現場にくれば、しみまると、しばのすけのステッカーがもらえるらしい!
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 私の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

最近刊行された研究書

このごろの新しい研究成果についての情報をいくつか。

近代日本漢学資料叢書1『澤井常四郎 経学者平賀晋民先生』(解題 稲田篤信)研文出版。二松学舎大学私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「近代日本の「知」の形成と漢学」の研究成果の一環。

神道資料叢刊14『小津久足紀行集三』(高倉一紀・菱岡憲司・龍泉寺由佳編)。皇學館大学研究開発推進センター神道研究所刊。急逝された高倉さんによる解題は、絶筆となった。

出口逸平『研辰(とぎたつ)の系譜 道化と悪党の間』(作品社)。魅力的なテーマ。

posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月07日

『日本文学研究ジャーナル』創刊

 『日本文学研究ジャーナル』が3月に創刊された。日本文学関係の雑誌が次々に休刊に追い込まれている中で、明るいニュースである。青簡舎の大貫祥子さんが編集に参加され、山口守義さんの古典ライブラリーから刊行された。古典ライブラリーは、『国歌大観』をはじめとする日本文学研究の必須ツールを、WEBで提供している。この学術誌も、WEBジャーナルとしても展開してゆくところに新しさがある。
 日本文学に関する良質な学術論文を集めるオーソドックスな学術誌として、大いに期待したい(などと他人事のように言っている場合ではない。来年9月刊行予定の第7号の編集を担当させていただくのだが・・・)。
 第1号は、渡辺泰明・佐々木孝浩の両氏による編集で、「中古・中世の和歌」が特集される。久保田淳先生の巻頭エッセイ、小川剛生氏の特別寄稿を首尾に置き、久保木哲夫・舟見一哉・田口暢之・佐々木孝浩・米田有里・山本啓介・高柳祐子の七氏の論文を掲載する充実ぶりで、創刊号に相応しい顔ぶれであると言えよう。本誌は、いきのいい若手の論文を積極的に掲載し、学界に新風を吹き込むことが大きな狙いのひとつである。また、WEBジャーナルということで、海外の日本文学研究者にとっても興味を引く論考が掲載されることを望みたい。
 ところで久保田淳先生の文章の最後に、世界の激動期に、八百年前の歌人達の歌や生にこだわり、それを追う営みについて思われることを書かれている。激動する世界の中で、古典研究をすることとは何か。久保田先生でさえ、真摯に迷われているのだ、ということにいたく感銘を受けた。どうふるまうかということは、個人でいろいろだろうが、「春秋に富む研究者たちはこの現実の下でどのように自身の研究テーマと向き合っているのだろうか」という問いには(私自身春秋に富むわけではないが)、自覚的でなければならないと思う。
 小川さんの「兼好法師の伊勢参宮」は、「吉田」ではない兼好の真の出自に迫る論文である。「吉田」が捏造であることを立証した論文も衝撃であったが、いよいよその正体が明かされようとしている。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月06日

説経

 神戸女子大学古典芸能センター編『説経 人は神仏に何を託そうとするのか』(和泉書院)が刊行された。
阪口弘之先生の序論「語り物としての説経―栄華循環の神仏利生譚」は、「一家没落のあと、子による栄華復活という循環境涯の哀話を、神仏縁を讃嘆して、利生譚の成神成仏で結ぶ」のが説経だという。浄瑠璃との違いは教義主張の有無だとも。
 個人的には、Jesse先生のお名前が懐かしい。ドイツフランクフルト市立工芸美術館で、そのコレクションについて、昨年のドイツ滞在中に講演を聴いた(英語ではあったが)。そのあと、少し何人かで先生を囲んでお話をしたことが思い出される。先生は、そのフォーレッチコレクションの奈良絵本群についてお書きになっている。
 一線の研究者の論考を他にも多く集めた、近ごろ珍しい説経論集である。説経研究の必読文献になることは間違いないだろう。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月04日

岡崎久司先生の島津先生追悼文

大東急記念文庫の『かがみ』47号(2017年3月)は、島津先生の追悼特集となっている。
その中で、岡崎久司先生の「小雪の舞う日」に引き込まれる。
『大東急記念文庫書目第二』『貴重書解題 第三巻 国書之部』の編纂で、中村幸彦先生、長谷川強先生、島津先生の「軍団」が来庫。年4回、7〜10日ほどの編纂作業(合宿)をした模様を活写している。もちろん、最高に面白いのは、夕食時、そして旅館での放談の模様。そして島津先生の旺盛な好奇心のこと。宝塚ファンというのは私も知っていたが、鉄っちゃんでもあったのですね。
そういえば、30年以上も前の話だが、近世学会でも、十数人が「旅館」に泊まり、その日の発表についていろいろと放談するというのが、そのころの一部の先生方のやり方だった。私も院生の時に一度経験したことがあるが、今思えば貴重な体験であった。

posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月02日

新年度

新年度である。めずらしく、私の教え子たちにまとまった動きがあった。
康盛国(カンソンクック)さんが、ソウルの神学大学校に就職が決まった。康さんは、2008年4月に研究生として来日。当初は『雨月物語』を研究テーマにしたいと言っていたが、話し合った結果、雨森芳洲の研究をすることになった。やがて学問研究を通して日本と韓国を繋ぐことを志すようになった。2009年に大学院に進学し、5年で博士論文を仕上た。その後は、特任研究員や特任助教・招へい研究員を歴任。彼は他の院生の模範になるくらいな、真摯な研究態度、誠実な人柄で、人望も厚かった。十分な業績はあったが、公募への応募を重ねてもなかなか結果は出なかった。しかし、この3月も下旬になって、急遽、就職が決まり、すぐに引っ越して明日からはもう授業をしなければならない。彼の努力と並大抵でない苦労とを知っているので、本当によくここまでがんばったと、心から讃えたい。今、彼は研究の幅を拡げ、朝鮮通信使との文芸交流を、韓国の資料を使って論じるという、彼ならではの方法も得て、研究者として大きく成長していっる。今後とも、日韓の学芸交流に力を尽くしてほしいと思う。
仲沙織さんは、博士論文を提出し、大阪大学の招聘研究員となる。今後は『上方文藝研究』の編集の仕事などもやっていただく予定である。西鶴研究はなかなか大変だが、がんばってもらいたい。
有澤知世さんも博士論文を提出し、学振特別研究員PDとして国文学研究資料館に所属する。資料が身近にあるので、3年間で、いい論文をたくさん書いてもらいたい。

ちなみに、教え子ではないが、大学の後輩の菱岡憲司さんは山口県立大学に転任とのこと。これもよかった。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする