清泉女子大学「日本文学と怪異」研究会編の『日韓怪異論ー死と救済の物語を読む』(笠間書院、2017年5月)も、前の投稿と同じく、佐伯孝弘さんが関わっている。
清泉女子大学と高麗大学の研究交流で、彼方と此方で催されたシンポジウムを元に作った本だという。怪異文学を対象とし、テーマは「死と救済」である。それぞれの考察を通して、日韓の比較文化論の試みになっている。日韓それぞれ5編の論考が並ぶ。韓国側の論考は、日本語訳という手間もかかっているようで、その意味でも労作。韓国語版も刊行されたのだろうか?
シンポジウムではどういう議論があったのか、というのが気になる。シンポジウムでの議論というのは、活字化が難しいということは、十分承知しているが、どこかでそれが読めればありがたいことである。
ちなみに佐伯さんの論は、『万の文反古』の巻3の3の、佐伯さんのいわゆる「死なせぬ復讐譚」を取り上げている。