2017年08月06日

騎士団長殺し

村上春樹の『騎士団長殺し』。下巻途中まで読み、長いこと中断していたが、ふと再開して読了した。『海辺のカフカ』や『1Q84』に比べると、やや地味ではあるが、スピリチュアルな志向性は、少し強まったかという印象である。展開される深刻ぶりながらも諦観性の濃い議論や思考には辟易の感が否めず、放棄してしまいたくなったが、秋成の『春雨物語』の一編である「二世の縁」が重要なモチーフとなっていて、単なる趣向に止まらない。最後まで読んでみると、私の勝手な読み方に過ぎないが、春樹の「二世の縁」解釈としての小説、あるいは、春樹の秋成テクスト(特に雨月・春雨)解釈としての小説として読むことができそうである。芸術論としては「夢応の鯉魚」にも関わるだろう。ネタバレになってはいけないので、これくらいにしておくが。

posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする