2018年03月10日

『鯉城往来』20号

 広島とその近辺の近世文学者を主なメンバーとする広島近世文学研究会の刊行する研究同人誌『鯉城往来』が20号に到達した。近世文学の研究同人誌は、主として、大学を拠点にするものと、地域の研究会を拠点とするものと、ジャンルを中心にするものがある。大学拠点は『叢』(東京学芸大学、ジャンルも草双紙に特化)、『渋谷近世』(國學院大學)などであり、地域でまとまっているのは『雅俗』(九州)、『混沌』(大阪、漢詩文が多い)、『東海近世』(名古屋)などがあり、ジャンルでは『俳文学報・会報』(大阪俳文学研究会)、『読本研究』(読本研究の会)、『江戸風雅』(江戸風雅の会)などがある。他にもいろいろあろうが、思いつくままなので、許されたい。我らが『上方文藝研究』は、その三つの要素がゆるやかにあるような雑誌であるかな。創刊からしばらくは全面的に阪大OBの方々の助けを得た。深謝している。
 『鯉城往来』は着実に年1回のペースを守っている。広島の地以外のメンバーも寄稿することがあるが、「往来」の誌名には、そのような開かれた場という意味合いもある。私も山口大学時代に研究会に2,3回参加した記憶がある。
 広島といえば横山邦治先生が『読本研究』を出していた地でもある。その横山先生が亡くなられたことに編集後記が触れている。横山先生の後任となった藤沢毅さんの文章である。横山先生と下垣内和人先生を両巨頭ととし、杉本好伸氏・久保田啓一氏を中堅として、その下の世代の藤沢さん・島田大助さんが会を引っ張ってきたという印象である。そういう中で、若手を育ててきた。本会の意義は大きい。
 なお、地域に根ざす研究会といえば、近世文学に限定するものではないが、北陸古典研究会を逸することはできない。たしか今日がその研究会の日ではないか。木越治さんを中心とし、非常にラディカルに、つまり根源的に文学と問い続けてきた研究会として特筆される。
 山本綏子氏が本号で問題とした「樊噲」の場面は、私も考察したことがある(『秋成 絆としての文芸』)ので、興味深い。「目おこせて」か「目おこせで」かという話で、私の趣旨からしても、この論は援護射撃になるのだが、賛否についてはもすこし保留したい。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする