2018年03月16日

みんなでデータベース?

 本日、上智大学でdigital humanities and databases (デジタルヒューマニティーズとデータベース)という国際シンポジウムが行われました。私も発表者の一人です。7名の発表のうち英語4名、日本語3名。会場では英語が飛び交い、聞き取れないので緊張します。しかし、フランクフルト大学のキンスキー先生がいらっしゃいました。ドイツで大変お世話になった先生ですが、優しい先生なので何か安心します。
 参加者は30名くらいだったでしょうか。10:00から開始。
 デビット・スレイター比較文化研究所長の開会の挨拶に続いて、コーディネータのオカ先生の趣旨説明。in English. DHに対する人文研究者の認識の現状と研究会の意義を説いている模様。その後、橋本雄太さんが日本語で趣旨説明をはじめました。「日本語をきいてほっとしている方もいらっしゃるようで」とおっしゃったが、もちろん私のことであります。
 最初の発表は、スレイター先生の「東北からの声 災害と復興のオーラルナラティヴ・アーカイブ」。面白かったです。オーラルナラティヴアーカイブの難しさ。コミュニティ支援をしながらの実践的研究。本音を引き出し、それを理解するために、同じところに4回通う。最低25時間のインタビュー。支援もプロジェクトの目的だから、そこは徹底している。話を何度も繰り返し聞くことで、わかるのだということ、確かに経験上、1度きいたぐらいでは本音はしゃべってくれないというのはありますね。だから4回!。たしかに学術成果を急ごうと、インタビューに気持ちがなければ、相手は本音をしゃべってはくれません。コミュニティウェブサイトの名は「東北からの声」。この試みは、2月23日に講演を聴いたヨーロピアーナを思い出します。ヨーロピアーナは第一次世界時の文書や聞き書き、物の総合的アーカイブスであります。
 
 次に急遽予定が変わって国文研の岡田一祐さん。見事な英語ですね。原稿をプリントアウトして配布されていました。職場の新日本古典籍総合データベースと、ご自身の『和翰名苑』仮名字体データベースのお話でした。岡田さんは英語質疑も見事にこなし、感嘆いたしました。
 
 ここで昼休み。上の階の食堂でサンドイッチ。まわりは英語ばかりで会話ですが、幸いキンスキー先生とご一緒できましたので、日本語でいろいろ情報交換いたしました。
 午後の部は橋本雄太さんから。英語プレゼン。非常に慣れている感じですね。原稿もないようですが、笑いをとりながら、聴衆を引きつけています。あとできいたら原稿を作る暇もなく、半分アドリブだったということです。発表は日本の主要な人文学のデータベースの考え方や構築方法などに触れつつ、現在進行中の「みんなで翻刻」について紹介しました。次いで私が、普通のおじさん日本文学研究者(つまり私)のデータベース活用の仕方と、くずし字学習支援アプリKuLAの紹介をしました。反応はまあまあよかったような気がします(自賛 笑)。
 続いて史料編纂所の山田太造先生。史料編纂所のデータベースについて説明されました。文字にして6億文字くらい集積しているらしいです。作成された史料冊は117875冊。約130年の事業だということ。

 続いてレオ・ボーンさん・浅野友輔さんの「日本の人名データベース 歴史的ソーシャルネットワーク可視化とその利活用」in English 今日の目玉ですね。2200の人名と7000の出来事が現在入力されています。場所もデータとして採られています。これは私らの「人的交流と〈場〉」科研と重なるものがあるなーと思いました。頼春水を中心にデータをとっているようです。China Biographical Databese をモデルにしているらしいです。試行的なウェブサイトにもアクセス可能である。→https://network-studies.org/ 人的関係を図式的に可視化するのはエキサイティングでした。
 と同時に、データベースも「みんなで翻刻」同様、クラウドソーシングするのもひとつの手かなと思いました。
 トリは佐久間勤氏のラウレスキリシタン文庫データベースの紹介。ヨハネス・ラウレス神父の設立した文庫。きりしたん版ほか貴重なキリシタン関係の文献。詳細な書誌情報とともにデジタル画像を一般公開しています。ラウレスには『キリシタン文庫』という編著があります。
 さて発表が終わって、上智大学13号棟内の「紀尾井亭」でレセプション。ぜいたく・・・、というわけで大変刺激的で有益な会でした。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする