松田清著『京の学塾(まなびや)山本読書室の世界』(2019年12月、京都新聞出版センター)を紹介する。
読書室とは、京都の本草漢学塾である。山本封山・亡羊以下明治まで本草・漢学を継承した山本家の堂号が読書室である。
この読書室には、本草漢学に関わる資料の他に、新聞でも大きく報道された岩倉具視関係をはじめとする維新史料が注目されている。
松田清氏は早くから山本家土蔵の調査に携わり、目録を作成(これはWEBでも公開されている)資料は京都府立総合資料館に搬入された。
平成27年から、山本読書室資料に基づくコラムを1年間京都新聞に連載、この中には秋成資料の紹介もあり、松田氏から直接教えていただいたことがある。この連載に、岩倉具視資料を加え、また重要資料の解説を増補したのが今回の本で、資料紹介部分はオールカラーである。本はやや細長い唐本風仕立て、2700円はリーズナブルである。
山本読書室の資料を広く知らせ、活用していただきたいという著者の情熱が伝わってくる本である。