上野の都立美術館で行われている「ボストン美術館展」。目玉の「平治物語絵巻」、「吉備大臣入唐絵巻」、本展示のために修復された増山雪斎の「孔雀図」は評判通りに素晴らしかった。「平治物語絵巻」はとにかく細部がすごい。こんなことが描かれている!と驚いた。余りにリアル。そして「孔雀図」の鮮やかさ。「いつの日か「第2の若冲」と呼ばれるようになるかもしれない(ナカムラクニオ氏『ボストン美術館修復探訪記』)」というが、まさに。そしてお殿様だけあって隠せない品性がある。しかししかし、目を剥いたのは、光格天皇の新内裏入りを描いた「寛政内裏遷幸図屏風」だ。全くノーマークだったので驚愕。このモチーフの図は以前たしか内閣文庫でも見たことがあるが、ボストン美術館のは屏風だし、鳥瞰的迫力と彩色の鮮やかさが半端ない。吉村周圭、やるな。都の町人たちが大なる期待と興味を持ってこぞって見物していたのがよく分かる。天皇の乗る輿の周囲には百人を越える官人、そして行列は全部で何人いるのだろうか。その長さも凄い。どういうコースで遷幸したかも一目瞭然。横開きになる特別なクリアファイルが売っていて思わず買いました(笑)。