2008年12月10日

訪書の醍醐味

あるところで、掛物を見せてもらいました。

桐の箱を明けると、展示に使った時の解説文と、関係する新聞記事が
一緒に入っていました。その新聞記事が思わぬ情報をもたらしてくれました。こういうことは、案外よくおこります。いまは便利な時代となって、ネットで画像が提供されていることも多いのですが、現物を見に行かねばこういう発見はありません。

別の箱に入っている短冊が三十枚弱。その箱の中には、領収書が入っていました。昭和三十六年に京都の古書店から、別の資料と合わせて、10万円で買っていることがわかります。昭和36年の10万円というのは、ものすごい額です。これをもって、このコレクターの収集ぶりがわかってまいります。

こういう時に、それを話題の糸口にして、所蔵者なり、学芸員の方にお話をうかがうというように話が進んでいき、そこから思わぬ情報がもたらされることがあります。

「そういえばこういうものもありますよ」

というような。

ある高名な俳諧研究者が、1回行くだけではわからない。2回、3回、できれば毎年でもいけば、かならず、なにか新しいことがわかる。いや、そもそもそういう関係をつくることが大事、というようなことをおっしゃっていたことを思い出します。

なかなか実行できることではありませんが、実物を見ることにともなう、ある感動は、画像をみることとは比べ物にならない記憶の定着と、対象への愛着をもたらすことは確かなようです。

そうはいいながらも、実際は思っていても、なかなか実物を見に行くことのかなわない者の、自戒としてのメモです。

posted by 忘却散人 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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