御依頼を受けて、標記の拙文を『懐徳堂記念会だより』NO.82(2009年2月)に寄稿いたしました。2006年から3年にわたって8月に3回連続講座として秋成のお話をした感想です。ご笑覧。
----------------------------------------------------------
古典講座集中コースの夏は・・・
(財)懐徳堂記念会運営委員 飯倉洋一
「上田秋成を読む」と題して、3年にわたり懐徳堂古典講座夏季集中コースを担当させていただきました。1年目は、あまり知られていない秋成の諸作品、2年目は『雨月物語』から「菊花の約」、3年目は『春雨物語』を読みました。
毎年酷暑の中、非常に受講者の方が熱心で、9回全部の講座を受講してくださった方も少なくありません。講義が進むにつれて、早口でまくしたてる私の話は、お聞きづらかったことと思いますが、話し終えた後のご質問には、大学院生かと思うくらいにレベルが高いものもあり驚きました。
堂島永来町の紙油商の養子となった秋成は、懐徳堂で学んだと言われています。五井蘭洲のことを「先生」と呼んでおり、『胆大小心録』には、中井竹山・履軒兄弟の話も出てきます。彼らに対して忌憚のない悪口を書いていますが、秋成は親しい友人たちのほとんどを俎上に挙げて憎まれ口を叩いていますから、仲が悪かったわけではないでしょう。
そういうわけで、秋成のことを古典講座で取り上げるのは、それほど的外れではなかったと思います。1年目の講座では、秋成の失明の回復に尽力した眼科医の谷川良順ら三兄弟のご子孫である谷川好一さんに、秋成から贈られた墨跡と手紙をご持参いただくなどのご協力を得て、秋成真筆に接していただけたのは望外の喜びでした。2年目の「菊花の約」の講読では、受講者の方のさまざまな解釈を伺えましたが、それに刺激を受けて、私なりに新しい作品解釈に到達することができました。3年目の『春雨物語』の講読でも、話している途中で突然あることがひらめきました。どうも、受講者の皆さんの熱気で、私の読みの感性が覚醒したようなのです。
中には秋成のことが新聞記事になっていると教えて下さり、そのコピーを下さる方もいらっしゃいました。また秋成ゆかりの香具波志神社のことをよくご存じの森本吉道様には、神社にご同行いただき、同社では秋成が奉納した自筆短冊六十八枚(『献神和歌帖』)を見せていただきました。私の教え子の卒業生何人か(在学生も)が、忙しい中、講座を聴きに来てくれたこともうれしいことでした。古典講座集中コースの夏は、私に良き思い出を残してくれました。また機会を与えていただければと思っております。
-----------------------------------------------------------
平成22年は懐徳堂記念会創立100周年です。
2009年02月11日
この記事へのコメント
コメントを書く

