日曜日はものすごく久しぶりにQ大学会へ行く。入口敦志さんが、「吹き出しの夢」について博捜した資料に基づいて図像学的な興味深い発表をする。「お大の夢、家光の夢」という題の発表は、去年のハーバード大での荒木浩さんの同じ主題に関わる発表に触発された由。そういえば去年、このお二人が夢の吹き出しについて情報交換されている現場に立ち会ったことがある。活字化が楽しみでござる。
今年九大を転出しK文研の館長になった今西祐一郎先生が、伊勢物語後人注記をどう読むかという講演をされる。源氏物語がなぜ源氏と藤壺の密通を(皇統に関わる重大な問題を孕むことになるのに)描き得たのか、という疑問を、伊勢の後人注記と結びつけた、大胆にして驚愕の仮説。パワーポイントを駆使しながら、「先入観は学問の母でありまして…」と(わざと)危険な香りのする言説を述べていた。この先生にはこの手の名言が多い。
あとで中野三敏先生が「あれは中古だから言えることだよな」と、機嫌よく笑っておられた。もっとも井上敏幸先生は、「あれは、正しい。あれは、正しい」と得意の反復用法で深くうなずいておられた。反復といえば、京都から母校に帰った青木博史さんも、反復表現の話を発表していた。
ちなみに久しぶりだったので、懇親会で「スピーチをしろ」とT山倫明氏がいうので、退任を祝うスピーチでは学問の話をせよという、某先生の言葉を思い出し、まあ転任だけど、初期今西源氏論について一席。内容はここでは書かないが、『源氏物語覚書』未収の3論文について、ちと思い出とともにしゃべらせてもらった。司会のK島さんが「今西先生、ご反論はありませんか」とふったが、「いやいや」と大人の対応をされ、「追悼のごあいさつ、ありがとうございます」と一礼されました。
ところで、佐賀大学に移った白石良夫さんから聞いた話では、4月刊行の同氏訳注の講談社学術文庫の『うひ山ぶみ』が早くも増刷したそうだ。こういう希望のニュースもあるわけだからガンバロー。
2009年06月09日
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