2009年08月14日

モノとしての古書こそ

お盆ではあるが、諸般の仕事に追われています・・・。

さて『日本古書通信』2009年8月号に、タイトルに挙げた拙文を載せていただいた。「変化著しい学術情報環境の中で」という「若手研究者たち」(?)へのアンケートで、1現在研究中のテーマ、2研究上の古書の価値・意味、3資料のデジタル化のメリット・デメリット、4研究発表媒体の今後の見通しなどについてきかれたものに答える形である。

7月号の4人の方に続いて、高木元・柏崎順子・神田正行・神作研一各氏と私である。近世文学に偏っているのはなぜだかよくわからないが、結局みな、比重のかけかたは多少異なっても、ほとんど同じことを言っている。デジタルだけではダメで本物を見なければならないというあたり前のことである。

デジタル化に関しては、高木氏・神田氏の諸情報はありがたい。しかし高木氏も書いているが、われわれは大量の情報を収集することを効率的に行えるようになる反面、データを分析・整理する時間を失いつつある。インプットが必要なのに、形になるアウトプットばかりが求められている。自己評価・研究報告書・中期計画・外部資金の獲得・オープンキャンパス・出前授業・それらに関わる会議。所属する機関ばかりではなく、学会や研究会においても、ただ牧歌的に研究をしていればいいということではない。これらの消耗戦が、一番肝心な基礎体力を奪っているのではないか。

情報収集は確かに便利に効率的になったが、そうして集められた情報のみを用いて書かれた研究論文はえてして薄っぺらな感じを免れない。また、デジタル情報(データベースの存在)を知らないのではないかと不安になることが私もあるが、本来は、この本を見ていない、読んでいないということが不安でなければならい。

デジタル情報のことはほとんど知らず、昔ながらに図書館に通い、黙々と原本を調査し、読んでいるベテランの研究者たちの方が、いい仕事をやっぱりしているのではないだろうかという思いは、いつもついてまわる。多分そうですよね。
posted by 忘却散人 | Comment(2) | TrackBack(0) | 私の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
公開した拙稿にリンクを貼らして頂きました。
Posted by 高木 元 at 2009年08月15日 15:20
高木さま。はい、了解しました。
Posted by 忘却散人 at 2009年08月15日 21:14
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