2009年10月08日

『蘆庵文庫目録と資料』刊行

青裳堂書店の書誌学大系シリーズから、『蘆庵文庫目録と資料』(蘆庵文庫刊行会編、2009年10月、38,000円)が刊行される。

「蘆庵文庫」とは、ひとことでいうと、京都東山妙法院近くに新日吉(いまひえ)神宮に所蔵される典籍・古文書である。小沢蘆庵の門人であった、当神社の社司藤島宗順のところに、蘆庵自身が持ち込んだ文典籍に、社家としての新日吉神社の蔵書、藤島家代々の蔵書を加えて形成された文庫である。本文庫が現在まで伝存するに至ったのには、いずこの文庫もそうであるように、さまざまな人々の善意と御苦労があったのであるが、それは神作研一氏の目録編解題・大谷俊太氏の「書後」に就かれたい。

この文庫を国文学研究資料館の調査が入って20年。ようやく文学関係資料の調査が終了した(その調査に私もながく関わってきた)。さて48代宮司の藤島益雄氏(昭和55年没)は、蘆庵文庫の顕彰に力を尽くし、多くの資料の翻刻を残されていた。それを発見したときの私達の驚き、喜び、歓声。これをこのまま眠らせておくわけにはいかないというのが一致した考えであった。しかし、その刊行はそう簡単には実現できなかった。しかしようやく目録と資料の二本立てで、本を作ることが決まり、その最終ゴールの期日も設定された。新日吉神社創祀850年紀の2009年である。そしてその記念祭が行われる10月16日を刊行日として奥付に記されることになったのは感慨深い。

 本書の目録編は、神作研一氏・加藤弓枝氏が担当。目録作りの経験豊富な神作氏と、気鋭の蘆庵研究者の加藤氏の師弟コンビが、行き届いた100頁におよぶ文庫解題をふくむ1600点超の目録を作成した。これは労作以外のなにものでもない。これだけで402ページ。目録の元になったが国文研の調査カードだったが、もちろん全点再調査してチェックしている。再調査の過程で次々と新しい資料も出現した。

 本書の資料編校閲は、大谷俊太氏をリーダー格に、山本和明氏・盛田帝子氏と飯倉の4人が担当。入力には伊藤達氏氏らの協力を得た。藤島益雄氏の遺稿を可能な限り活かす方針で、それに我々の判断でいくつか資料を加えている。従来知られていない蘆庵関係資料も豊富であり、近世後期の京都文壇研究にはまさに宝庫というべきである。この資料編を合わせて、ちょうど800頁。口絵図版も充実16頁である。

 蘆庵文庫研究会は一応、現在上記6名で構成されているが、国文研の調査に関わった方は他にも数多くいらっしゃる。この文庫を再発掘し、資料館の調査へとつなげたのは上野洋三氏、藤田真一氏であり、私ももとはといえば藤田氏に声をかけていただいた。久保田啓一氏、岡本聡氏も調査員だった。いろいろと思い出もある。ともあれ長期にわたる調査をお許しいただいた藤島嘉子さん(益雄氏御令嬢)へは心より感謝申し上げたい。

 思えば長かった……我々が共有する感慨は、大谷俊太さんの「書後」に尽くされている。ウチの院生も最後の最後にほんの少しだけお手伝い(ほぼ肉体労働が主だが)させていただきたが、律儀な大谷さんはちゃんと名前を載せてくれていた。ありがとうございます。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 私の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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