2009年12月08日

歌と詩のあいだ

今年の角川源義賞の国文学部門は大谷雅夫さんの『歌と詩のあいだ』(岩波書店)。12月7日に授賞式が行われた。

万葉集から明治までの、さまざまなトピックについて、和漢比較文学の視点から、その受容、選択、和習などの問題に触れたもので、間口の広さと論の精緻さに圧倒される。しかしながら、共通教育での授業が元になっているだけあってわかりやすく書かれている。日本文学史上、著名なトピックを論じているし、日本文学の本質にも迫っている。

いま、こういう形でこれだけのレベルの本がかけるのは、大谷さんしかいないのではないだろうか。受賞は当然だろう。

ところで、この中に、雨月物語の青頭巾論があり、私が学界時評していたころに、初出論文をかなりのスペースをさいて、評をしたことがある。驚いたのは、単行本所収にあたって、拙評を、正面から受け止めてくださったばかりでなく、私の批判的な言辞にきちんと反論を書いてくださっていたことである。本には私の名前など出ていないのだが、私にはそれがよくわかった。大谷さんとも、その話をすることができた。

それにしても、K書店の社長があいさつで、書名を『愛と死のあいだ』と言い間違えたのだが、場はそれでちょっと和んだ。
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