2009年12月09日

読本研究

大高洋司さんを代表者として行われている国文学研究資料館のプロジェクト、「近世後期小説の様式的把握のための基礎研究」が、この12月に最後の研究会を終えた。

6年間に形にした業績として、『読本事典』(笠間書院)、『江戸文学』40号の「〈よみほん〉様式考」、国文研でのよみほん展、そしてまもなく刊行される『人情本事典』があり、実録書解題の報告書もある。まことに豊かな成果である。

 研究会のメンバーは固定しておらず、ときどきメンバー外からゲストを呼んで発表してもらったりした。常時15人から25人が参加し、12回(24日)の研究会が行われた。のべ50人くらいの人が発表し、その8割ほどが論文化されたのではないか。

 代表者の大高さんとともに皆勤だったのが濱田啓介先生だったという。大高さんの真摯さと、濱田先生の存在感がこの研究会に人を集めたといえるだろう。また、メンバーがバランス感覚のある方が多く、多様な意見が生きる会でもあった。みんなが自分の好きなことをやって発表しているのに、研究会としては、大きな流れのようなものが出来ていた。研究会を通じて、従来比較的手薄であった、上方読本への関心が高まったように思う。

 私自身はあまりお役にたてるようなことはしていないが、それでも研究会には7割方は参加し、上方読本に関する論文も1本書いた。
 
 読本にしろ、人情本にしろ、面白いのだが、実際にはなかなか読めない。つまり翻刻や注釈書が少なすぎる。古典という意識にとらわれず、今風に現代語訳してもかまわないから、読本叢書や人情本選集のようなものを企画してほしい。これはこれからの課題であろうが。
 
 このプロジェクトは終了するが、これを承ける形で若手中心の新しい研究会が発足するときいた。また一方では、高木元さんや服部仁さんの読本年表作成のプロジェクトが進んでいるらしい。よみほん研究の勢いはまだまだ続いているのである。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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