2011年10月04日

ソウルの青い空(学会日記)

*写真2点アップしました*

雨で寒い日が続くという天気予報はいい意味で外れてくれた。
連日の晴天、そしてさわやかな風に恵まれたソウルであった。
ここには私的なメモを記しておきたい。公的な立場でのリポートはまた別の場を与えられているので、そちらをご参照いただくことにしよう。

日本から120名を超える学会員が、日本海を渡って韓国ソウル市の高麗大学校へ。3日間、特段のトラブルもハプニングもなく、順調に予定が進行した。おそらくは参加者のすべての人が、「来てよかった」と思われたのではないだろうか。それくらい完璧な開催校の運営、おもてなし、そしてシンポジウム・研究発表の充実ぶりだった。

30日。私は学会ツアーパックを利用して関西空港から出発。同行は24名。皆がまとまって陣取り修学旅行のよう。考えて見れば学会でこんな光景は初めてである。「まだシンポジウムまでには時間があるからね」と、機内でビールを飲む人も(私もその一人だったが)。前事務局代表のY先生などは2缶飲んでいました。

金浦空港に到着後、バスに乗車。カーテンなど内部が紫色の仕様で度肝を抜かれる。カラオケバスみたい。今回はバス内で両替。40分ほどで今回のツアーでの宿泊先であるホリデイイン城北に到着。名古屋からのツアーも先着していた。

九州組を待っての出発予定だったが、時間が余るので開催校に電話して先に出発することに。(実は九州組は案外早く着いたようで)。すぐ近くにスーバーがあったのだが、店頭に、日本の白菜の4倍くらいの大きさのが、2つで300ウォン(25円)くらいで売っていたのに仰天する。と、こんなに詳しくかいていたらキリがないので以下早足。

予定より30分はやく到着したにも関わらず、受付準備は整っていた。実行委員長の崔官さんにコーヒーのもてなしを受ける。シンポまで充分時間があるので、国宝を含むすばらしい展示がなされている高麗大学博物館の常設展示を見学。

午後4時30分、シンポジウム開始。
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パネリスト4名(日韓各2名)の先生方は、発表時間15分という無茶な注文にも拘わらず、実に周到に準備され、「日本近世文学と朝鮮」というテーマをあぶり出す刺激的な発表をしてくださった。休憩なしで、コメンテーターの3名の先生方との質疑応答、議論がなされた。司会の染谷智幸さんの捌きがすばらしく、時間はさほどオーバーせず、中身の濃い、そしてこれからの課題をたくさんいただいたシンポになった。(シンポについては、別の場で私も書かせていただくし、次号『近世文芸』にその総括・傍聴記が掲載される予定である)。

さて、その日配られたのは、学会史上初となる冊子体の資料集の他に、美しい小物入れ、記念ボールペン、そしてエコバック。さらに大きなお菓子の詰め合わせケース(実はもらいそこねたので、翌日おねだりしてもらった…)。まるで結婚式の引き出物のようである。名札も、首からかけるタイプで、学会オリジナル仕様。

歓迎会場の「母心」へ向かう。徒歩10分程度だが、迷ってはいけないということで、随所に、高麗大学の学生スタッフが立っている。私は崔官さんと歩きながら会場に向かったが、その一人一人に崔官さんは、明るく声をかけるのである。学生も明るく答える。この細やかな配慮に感銘を受けた。
 
スタッフを入れれば130人くらいいたのではないだろうか。着席でゆっくりと食事ができる。ここも会場校のご配慮で、会費は格安の3000円である。浅野三平先生が乾杯の音頭を「コンペ!」と韓国語でご発声。韓国の家庭料理ということであるが、美味しかった。ちなみに浅野先生のスーツは37年前にソウルで仕立てられたものだということ。

帰りもバスで送っていただき、初日は暮れる。ところが、ここで携帯の充電器を忘れたことが判明。事務局としてピンチだったが、これも助けてくれる方がいた。ありがたや!ありがたや!。

翌日(1日)はいよいよ研究発表会。今回は17名が1日で発表ということで、午前中会場を2会場に分けた。私は第1会場の担当。教え子の留学生が第2会場のトップバッターだったので、声だけ掛けにいったが、かなり緊張していた。すぐに第1会場に戻る。朝早い開始時間だったが、どちらもそこそこ人が入っている。午前中はそれぞれ5本の研究発表。若い方、そして留学生が中心であるが、いつもと同じように真摯で、手を抜かない質疑応答が行われた。

すこし時間がおしたので、昼休みが短くなった。委員会会場まで10分ほどかかる。いつもは1時間30分ほどかける委員会も30〜40分で終わらねば。それに、とてもおいしそうなお弁当が準備されているのに、司会で食べる暇がなかったら…。とそちらの方が心配?!。今回は、このお弁当も会場校のもてなしにより無料である。いいのだろうか!。

昼休みも終わって戻ったのは2,3分前。ここで会場校の崔官さんがあいさつ。第1会場の方に統合して、午後の部が開始される。質疑応答はどうしても、予定時間をオーバーするので、司会者に厳しく言い渡す。あんまりきびしすぎて、発表者も司会者もそれをきちんと守ってくださるあまり、第1パートでは貯金ができたくらいだ。しかし第2パートではそれも使い果たし、はや16時30分。ここで、またまた開催校のおもてなし。開始が遅い懇親会なので、おなかが空くだろうということで、全員にお餅(セット!)とお茶の振る舞い。あー、休憩時間をもっととりたいのですが、そこは鬼の事務局、最後まで予定通り進行。

閉会式では、今回のおもてなしに感謝の気持ちをこめて、学会から記念品(古活字版光悦本「むめかえ」)を贈呈。活字は朝鮮からもたらされた技術。これを日本の流麗な仮名に用いたということで、日朝文化交渉史を具現化したモノでもある。

 さて懇親会場はホリデイイン城北の地下で行われた。学会員、スタッフ他150人くらいいたのではないか。まるでそこは大きな結婚式場であった。会に先立ち、「韓国伝統芸術の夕べ」という催しが開かれた。どれも素晴らしかったが、とりえあけ重要無形文化財であるチョジュソン(漢陽大学国学科教授)さんのパンソリには感動した。韓国通の染谷さんをして「これほどのものは聞いたことがない」といわしめるくらいのすばらしい唄声である。浄瑠璃の大夫との比較をしたくなるのもむべなるかな。だが、パンソリは本来10数時間かけて長い物語をひとりで歌いあげるものらしい。これは信じがたい。とにかくこれを聴けただけでも、ここに来たかいがあったというものではないか。

 今回ご尽力をいただいた、国際交流基金ソウル日本文化センターの本田修さんが来賓挨拶をされた。シンポジウムもきいてくださったということだったが、シェイクスピアの学会が世界のどこで行われてもおかしくないように、日本古典文学の学会が世界のどこで行われてもおかしくない時代の端緒となれば、という意味のことを仰ってくださり、感銘を受ける。この懇親会の参加費は5000円だったのだが、この伝統芸能の素晴らしさ、そして料理とお酒の充実度を考えると、破格以外の何物でもない。22時くらいに宴が終わる。
 
 翌2日は、文化実地踏査。古宮めぐり。昌徳宮で記念撮影。
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お昼は「土俗村」という有名な店で参鶏湯。美味でした。景福宮では崔官さんが、ここにくればほっとするという場所で、気持のいい空気を吸った。さらに徳寿宮へ行き、ツアー終了。しばし休んで、ティップリ(打ち上げ)。ここは我々が開催校側に感謝する会という位置づけだが、もちろん右も左もわからないから、開催校がセッティングしてくれた。ここは参加者50名弱。浅野三平先生がまたまた「コンベ!」。焼き肉。とてもおいしかった。高麗大のスタッフの紹介、この学会を5年前からたくらんでいたという長島弘明さんのあいさつなどがあった。うろうろしていると佐藤悟さんに呼び止められ、「いいくらさん、あそこに高麗大のスタッフが5人いらっしゃるから、あいさつに行ってらっしゃい」とご教示をうけ、早速ビールをつぎにいく。きけば、本当に様々なご苦労があったようで。崔官さんは、この大会は、終わってよかったですませてはいけない。この後、どうしていくかが大切なこととおっしゃった。いろんな人ともそのことを共通認識としてもつことを確認。若い人も、受け止めてくれているようである。このあと、さらに2次会に突入。私の隣にいた、今回の学会裏方で献身的な尽力をしていただいた金津日出美さんがスパークしていた。いやはや完全解放気分でちょっと飲みすぎてしまった。崔官さんと抱擁し、再会を約し別れる。どうしても韓国に来ると熱くなってしまいます。

 最終日、仁寺洞の古書店めぐりを計画していたが、休日で店が開いていないだろうという情報を受け、これをとりやめ、急遽国立中央博物館の展示を見に行くことにする。たまたま朝鮮王朝の肖像画の秘密という特別展示をやっていて、これが素晴らしかった。朝鮮における家、礼などの意識の強さを思い知らされる。それから、ロッテホテルでお待ちいただいていた大谷俊太さんの知り合いで漢陽大学の李康民先生に、美味しい麺の店に連れて行ってもらい、水肉とうどんを御馳走になる。李先生も、最初ソウルで日本近世文学会が行われるときいて、そんなことができるのかと疑っていたそうである。李先生には、人文研究に対する政府の支援のことなどいろいろな情報をいただいた。なんとホテルにまで送っていただき、お別れする。最後は関空組10名。無事帰還いたしました。

 以上、駆け足レポートだが、この大会のシンポジウムでコメンテーターをされた加藤敦子さんのブログに、写真入りで詳細なレポートがあります。

 最後になりましたが、このたび開催校として素晴らしい学会運営をしてくださった、崔官先生、金津先生、高永爛先生、金時徳先生をはじめとする高麗大スタッフの先生方、院生・学生のみなさん、シンポジウムのコーディネーターをお引き受けくださった染谷さん、ツアー立案・現地視察など実行委員として献身的に尽くしてくださった森田雅也さんと関学の学生さんたち、パネリスト・コメンテーター・発表者・司会者のみなさん、窮地を救ってくださった山本和明さん、神谷勝広さん、事務局の田中康二さん、合山林太郎さん、この大会のそもそもの仕掛け人であった長島弘明さん、JTBの方、現地スタッフの方、そして日本からソウルに来て下さった学会員の方、来れなかったけれども応援してくださった学会員の方、どうもありがとうございました!!
posted by 忘却散人 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ツイートのご紹介ありがとうございます。高麗大、事務局の皆様のおかげで大変楽しく、得るところの多い学会でした。ありがとうございました。
Posted by Hioki Takayuki at 2011年10月05日 21:53
Takayuki様。
コメントありがとうございます。
学会の、というより、研究の国際交流の進展に、若い方ががんばってくれることを期待しています!
Posted by 忘却散人 at 2011年10月06日 10:08
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