国文学研究資料館公募共同研究『近世風俗文化学の形成―忍頂寺務草稿および旧蔵書とその周辺』(同プロジェクト編、国文学研究資料館発行、2012年3月)が遂に刊行の運びとなりました。
2008年度にはじまったこのプロジェクト、大阪大学と国文学研究資料館の研究連携事業である「忍頂寺文庫・小野文庫の研究」(2005年度スタート)と密接な関係を持ちながら、調査・研究会・シンポジウムを重ね、昨年は『忍頂寺文庫目録』の完成にも寄与したが、ようやく報告書をまとめることができた。A4判総ページ数666頁。収まりきれない情報はCDROMにおさめた。
5部構成となっており、第1部が「忍頂寺務 その人と著述」。福田安典さんの評伝、福田さん・青田寿美さん・尾崎千佳さんによる年譜データベース、肥田晧三先生の「忍頂寺務の著作を集める」(講演記録)、そして肥田先生・近衞典子さんによる著述目録である。
第2部は、2010年秋に行われたシンポジウムの記録。武井協三先生の基調講演に、内田さん、福田さんの報告、そして質疑応答を収める。
第3部は、論文・報告編で、鷲原知良・飯倉洋一・高橋則子・川端咲子・山本和明・近衞典子各氏の執筆。そして務の実孫であられれる忍頂寺晃嗣さんへのインタビュー聞書。
第4部が圧巻で、忍頂寺務宛書簡目録と解題220頁。内田宗一さん渾身の研究成果である。次の蔵書印一覧も、旧蔵書悉皆調査に基づく青田寿美さん執念の報告。
第5部は、研究者垂涎の務自筆稿本『近代歌謡考説』と『訪書雑録』を初公開。
これまで、共同研究員は、忍頂寺文庫研究の成果をいろんなところで発表してきたが、それらの再録は、肥田先生のご講演を除いてひとつもない。すべて報告書オリジナルである。
このプロジェクトを牽引してこられた福田さん、膨大な事務手続き、編集作業に従事してくださった青田さん、献身的な書簡調査を数年にわたってつづけてこられた内田さんには、特に篤くお礼申し上げたい。
666頁という分量があまりに多く、一時は出版できない状況にも追い込まれたが、青田さんの不屈の編集魂と、国文研のご理解で、なんとか出版にこぎつけたのは本当に感慨深い。印刷の質がちょっとと思われるむきもあろうが、これはひとえに予算内に収めるための措置である。お許しいただきたい。本研究にご協力をたまわったすべての方に御礼申し上げます。
ちなみに私の報告「『近代歌謡考説』とその周辺」は、『近代歌謡考説』の出版(これは頓挫しましたが)に、中村幸彦先生がご尽力されていたことを、務宛書簡数通を使って考証した部分が中心。
2012年04月05日
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