2013年10月15日

近世出版の板木研究

発禁本からの連想で、絶板→板木と。
これも、今年出た本で、紹介となると今更ってことになるが、現在授業で、板本書誌学っぽいことをやっているので、この本、つまり『近世出版の板木研究』のお世話になっているのですね。

これは金子貴昭氏の研究書である。法蔵館から2013年2月に刊行された。板木といえば永井一彰氏のめざましい板木発見とその研究が思い出される。時々新聞をにぎわすが、最近では秋成の板木が出てきた。

金子氏も、永井氏の薫陶を受けておられるようだが、板木で博士論文を書き、一書として刊行したのは天晴れで、これが今後の板木研究の基本図書となる。板面だけでついつい板本書誌学を論じがちだが、板木そのものを研究しなければダメだということが、この本ではよくわかる。

木材の含水率の問題とか、「おーっ!」っと感心することが次々と出てくるのだが、「終章」の「課題と展望」で、「へーっ!」という話が出てくる。

古活字から整板への移行が寛永末年ごろからということに関して、従来、この時期から出版が営利事業として成り立つから、つまり商業出版が成立して大量印刷が可能な整板になったというのが、定説っぽい理由なのだが、金子氏は、そこに京都における木材調達の事情、つまり木材流通の問題を併せ考える必要があるというのだ。これは非常にエキサイティングな話だ。もちろん現段階では見通しにすぎないのだが、説得力があるんじゃないか?こうなってくるとやっぱり、学際的研究って重要ですね。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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