拙ブログを見て懐徳忌に来てくださったのは、木場貴俊さんという日本史の研究者の方である。十七世紀の怪異認識を研究されていて、ご論文をいただいた。例によって、専門分野のカベってやつで、日本文学研究者では、怪談研究者以外、木場さんをあんまりフォローしていないかもしれない。しかし、非常に有益だと思うし、私自身刺激を受けたのでご紹介申し上げる。
ひとつは文字通り「十七世紀の怪異認識」(『人文論究』62(2)、2012)という論文で、「怪(恠)異」という言葉を歴史的に検証し、その属性として、「希少であること」を引きだし、さらに儒学者がその怪異を合理化していく論理として、経験的怪異認識(つまり、その現象は希少ではないと導く)を以てしたことを説いてる。
もうひとつは、「林羅山によるかみ(かみに傍点あり)の名物―『多識篇』をもとに―」(『日本研究』47、2013)で、羅山に即して、その怪異観を検証している。
たしかに、近世文学研究においては、このような歴史的視点での研究が少ない。作品とかジャンルとかいうものに関心が深く、また「系譜」という形で、断片をつなげるのは得意なのだが、歴史的に検討するという方法のためのスキルが不足しているのは否めない。文書と著作と作品とをどのように史料(テキスト)批判して用いるかという問題もある。木場さんの手法は、近世文学研究者には大いに参考になるだろう。
2014年04月13日
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こちらも国文学の研究からいつも刺激をいただいております。今後ともよろしくお願い致します。