2015年07月12日

楳図かずお論

『楳図かずお論』(青弓社、2015年6月)
 これしかないという紅白横縞のカバー地に、これしかないというタイトルをゴシック太字で中央縦書。
51bVpEeZxAL._SX346_BO1,204,203,200_.jpg
 著者、高橋明彦(号半魚)は日本近世文学研究者。
 この著書は、半魚高橋明彦が一番出したかった本であったはずだから、心から慶賀したい。
ここには、日本近世文学者としての高橋の「文学研究とは何か」というメッセージも篭められている。
彼の師匠は高田衛だが、高田衛のメッセージと基本的には同じだと思う。
 21頁あたり。文献学的に作品の元ネタを探し当てるような方法を楳図作品でやって一番気分のわるいのは私であると。ではどういう方法なのか?正直、そこは読んでないからわからないのだが(スンマセン)、ひとりよがりではないはずだ。
 自らヒロイックになっていることをちゃんと客観視できるような人の書いた評論だから、そこは安心して読めるはずだ。そもそも文献学的方法を実はかなりハイレベルで出来る人なのだ。
 
 500頁超で3600円+税とは、さすが楳図かずお研究書である。ちと羨ましい。
 最後に、敬称をつけていないのは、私なりのリスペクトである。
posted by 忘却散人 | Comment(5) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
取り上げていただき、ありがとうございます。飯倉先生に、日本近世文学研究者、とご紹介いただけるのは、たいへんな栄誉だと、いま気づきました。他方、このブログは誉め上手だよなとちょっと思っていましたが(笑)、自分がその番にまわってみると、きちんと毒が盛られていることにも、あらためて気づきました。たしかに、実際「ではどういう方法なのか?」。ねえ!
本書11章と、あと、『日本文学』2011年1月号に書いた莠句冊論が、すこしだけその方法に足をかけてるはずなのですが、まあ、まだまだなのです。でも、しばらくこれでやっていこうと思っています。
まずは、ご紹介、ありがとうございました。
Posted by 高橋明彦 at 2015年07月12日 18:12
高橋さん。コメントありがとうございます。「毒を盛った」わけではないのですが、そう受け取っていただき、光栄です。第11章、ハイわかりました。今見直してなるほどです。触れるべきでした。莠句冊論、読んでインパクトはありましたが、いま、もひとつ頭の中で再現できません。発表5本、論文10本くらいかかないと、新しいことは、なかなか認知されないというのが、私の実感です。ぜひ書き続けてください。それも集中的にやると効果的だと思います。11章については、あらためて。
Posted by 忘却散人 at 2015年07月13日 08:43
5+10の法則、とでもいうのでしょうか(笑)。
拙著11章は楳図の『イアラ』という歴史物中編作品を論じて、初出論文を半分以上書き直したものですが、論文のモチーフは、楳図は史実に解消されない歴史の複数性を洞察し描いている、ということです。書き直してしばらくしてハタと気づいたのは、このモチーフは、綾足『本朝水滸伝』(とくに高田衛先生が、恣意的なまでの歴史改変として論じたそれ)がもっと身軽に実践したのと同じじゃないか!ということでした。
典拠じゃありませんが(笑)、ある種のネタばらしです。
Posted by 高橋明彦 at 2015年07月14日 13:02
西日本新聞の書評(10月4日付け)を拝見しました。さきほど出版社がメールで送ってくれました。驚きました。飯倉先生に書評をいただけるなんて!ありがたいやら、もうしわけないやら(お忙しいでしょうに)。
ここに御礼を書いて、よいのでしょうか。書評の本文がネットでは読めないようですが、驚くべきレベルで評していただいています。もう大阪に足を向けて眠りません。一言ひとことが恐るべき強度で、拙著を綺麗に鮮やかに料理・整理してくださっています。しあわせです。典拠の問題を、ここまで明確に読み切ってくださったのは、やはり飯倉先生だからだろうなーと思います。みんなに読んでほしいほどの評文です。(僕の本を読むより、よくわかります)。高田先生にもお送りします。
まだまだ書き足りませんが、まずはとりあえず御礼もうしあげます。
Posted by 高橋明彦 at 2015年10月07日 19:10
私のところにはまだ送られてきてないのですよね。遅いなー。さて11章についてはあらためて、というお約束を果たしてなかったので、西日本新聞からのお話は渡りに舟だったんですね。ただ、私は高橋さんのご指名かそれに近いものだろうと思ってました。驚かれて驚きましたな。ただ、いくらご自身の本だからといって、この書評をそこまでほめる?のはいかがなものでしょう。「ヤキがまわった」って思われますよ。全然わかってませんね!と呵々大笑するのが高橋さんらしいかも。9月30日の朝日のインタビューも読みました。書評で書いたことと同じことを話しておられるところがあり、そこは嬉しかったです。
Posted by 忘却散人 at 2015年10月07日 21:57
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/422226615
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック