2016年09月19日

幕末明治 移行期の思想と文化

 少しずつたまっている受贈本を。簡略になってしまいますが。
 渡独中の5月に勉誠出版から出た『幕末明治 移行期の思想と文化』。
 帯に「ステレオタイプな歴史観にゆさぶりをかける画期的論集」とあるが、この移行期を「幕末明治」と連続で捉えることが近年の流れで、従来見向きもされないような著述(言葉)やモノ、パフォーマンスを掘り起し、それぞれの歴史を捉えなおすことが各分野で成果を上げはじめている。本論集もそのながれにあるが、明星大学スタッフの研究会を母体とする論集で、多角的な問題意識をぶつけ合う開かれた議論が実ったものと見受けられる。
 編者の一人、青山英正さんの論考は、韻文史の移行期の重要要素として七五調を取り上げる。すなわち新体詩が採用したものだからであるが、長歌→新体詩という従来の視点に代えて、教訓和讃や今様という全く注目されていなかったジャンルに光を当て、五七調か七五調かという歌学的議論がやがて終焉して韻文論的議論へと解消する状況にまで論及、説得力をもって叙述している。わかりやすく、切れ味のいい論文。
 冒頭井上泰至さんの「帝国史観と皇国史観の秀吉像―『絵本太閤記』の位置」は、私の、初期絵本読本に関する旧稿が参考になったと言われていたが論文を拝読して、そう結びつくのかと驚きました。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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