2016年12月04日

真山青果の魅力!

 12月3日は一橋講堂で、学術シンポジウム「真山青果の魅力―近世と近代をつなぐ存在」が開かれた。500人収容可能の素晴らしい会場だったが、マックス120くらいの集まりだったかしら。芸能史研究会東京大会(早稲田大学)や演劇学会、国立劇場の歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」が2日目など、いろいろバッティングしていたこともあり、残念であったが、内容は非常に充実していて、実行委員としては90点をあげてもいいかなと思う。アンケートでも、全体としては好評だった。
 とりわけ神山彰先生の基調講演が素晴らしかった。数々の青果の芝居を縦横に論じ、その創作意識、近代演劇史上の位置、さらには今後の青果作品の生かし方に至るまで、内容の濃い、かつ面白いお話だった。あれだけ専門用語をつかいながら、そして私達が見ていない作品について語っているのに、ものすごくわかりやすいという、奇跡的な話芸である。先生のご講演を初めて聞いたが本当に驚いた。お願いしてよかったと思った。「演劇というものは自立していない(テキスト)」。「今の観客はボリュームを最大にしないと満足しない。いきおい力演型、熱演型が評価されるようになる」。「青果の成功は、新しいことをやっただけでなく、古いものを残したところ」。「青果が今後生き残るのは歌舞伎ではなく新派」など、印象に残ることばがいくつもあった。神山先生は長い間、国立劇場で実際に芝居に関わってきた方。年季が違う。演劇を知り尽くしていらっしゃる。本当に聞き惚れてしまった。
 パネリストとして登壇したのは、西鶴翻案ものを太宰治と比較して論じた丹羽みさとさん、青果文庫の調査から見出された昭和19年当時の青果の住所録を紹介しつつ青果の多彩な人的交流をあぶりだした青木稔弥さん、西鶴研究における真山青果の業績について検証し、その影響をわかりやすく論じた広嶋進さんの3名。いずれも青果文庫調査メンバーである。そして、難しい全体ディスカッションを仕切った日置貴之さんの捌きも実に見事。フロアからの質問を巧みに織り込んで、流れをつくる手腕は素晴らしかった。
 真山蘭里さんの挨拶も胸を打つものであった。このプロジェクトは、不思議な縁がいくつも重なって実現している。国文学研究資料館の山下則子さん、青田寿美さんはじめ、調査メンバーの献身的なご協力もあった。青田さんの作った展示リーフレットの文章は、「青果への愛にあふれている」と蘭里さんはおっしゃっていた。私がドイツにいてなにもお手伝いできない間、星槎グループのスタッフの皆さんや、国文研の皆さんには大変ご尽力をいただいた。松竹の協力、日本近世文学会の後援もありがたかった。すべての関係者のみなさまに、実行委員として感謝申し上げます。ありがとうございました。
 しかし、青果プロジェクトは、まだ終わらない。次なる挑戦がまたはじまります。また頑張ります。
 
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 私の仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック