2017年03月04日

高松亮太『秋成論攷』

この時期は、学術書の出版が多い。研究助成図書ラッシュなのである。
 高松亮太氏の『秋成論攷―学問・文芸・交流』(笠間書院、2017年2月)も、学術振興会の研究成果公開促進費の交付を受けたものということである。この副題に関しては、私も非常に親しみを感じざるを得ない。
なにせ修士論文のタイトルに「学問」、本の副題に「文芸」、科研の課題に「交流」という言葉を使ったことがあるので。
 研究への入り方はちょっと違うが、現在のスタンスは、高松さんと私とでは結構近いのではないかと思う。つまり、秋成の本領である和歌・和文・学問を解明し、人的交流の中にその文業を位置付けようとするところである。したがって、高松さんの論文は大体は読んでいると思う。
 秋成研究の近年の傾向として、『雨月』『春雨』の作品論を論じる傾向から、高松さんのように、秋成の文業全体に目配りし、人的交流や、文芸の生成する場に着目する傾向へと、移りつつあるのを実感する。この傾向は、作品論のあり方も変えていくだろう。本書に収められる「目ひとつの神」論もそういう作品論のかたちだろう。
 私も馬齢を重ね、秋成研究を30年以上もやっている。その牛歩以下の歩みののろさに我ながら呆れはてるが、私が秋成論をいくつか書いたころに生まれた研究者が、こうやって堂々たる論文集を刊行するとは、まことに感慨深いものがある。勢いのある若手の活躍に大いに期待しつつも、私もくらいついてくっついていくつもりですので、なにとぞよろしく。
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