2017年06月20日

八犬伝錦絵大全

服部仁氏の監修・著による『八犬伝錦絵大全―国芳 三代豊国 芳年描く江戸のヒーロー』(芸艸堂、2017年6月)が刊行された。
文字通り錦絵でたどる八犬伝であるが、非常に構成がよく練られていて、八犬伝入門・錦絵入門にもなっている。
まずは、『錦絵 八犬伝へのいざない』という最初の文章で、読本の『八犬伝』絵師と、錦絵での「八犬伝」絵師は重ならないということを紹介する。なぜなのかを教えていただきたいところである。
ついで、読本八犬伝のあらすじが、錦絵とともに紹介される。次に、八犬伝人物相関図が、これまた錦絵「八犬伝犬の草紙」の絵を使って一覧できる。次に版本八犬伝の紹介。そして二次作品というべき錦絵・合巻・暖簾・双六・カルタなどの存在を明らかにし、その中のひとつである『雪梅芳譚 犬の草紙』の紹介。馬琴の生涯。国芳と国周の描く八犬士の肖像。そして絵師別名場面集。八犬伝の錦絵の中ではやはり芳流閣の決闘の場面を描くものが圧倒的に多いと言うことだ。さもありなんだが、600枚もの八犬伝錦絵を所蔵する服部氏が言うと重みが違う。絵師別に見較べるのは愉しい。さらに芝居絵八犬伝、刺青下絵師の描く八犬伝、3枚続きを中心に見ていく錦絵八犬伝ストーリー、パロディ八犬伝、双六八犬伝、見立八犬伝と、まさしく絢爛豪華な展開。本当に楽しく学べること請け合いである。
 ところで著者から伝言がある。ご本人は関わっていないということであるが、「岡崎市美術館で、〜7/17、「家康の肖像と東照宮信仰」展を開催しております。いけどもいけども家康ですが(終わりの方に、秀忠、家光etc.もありますが)、江戸時代の研究者は見ておくべきかと存じます」との事である。残念ながら行けそうにないが。
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