丹羽みさとさんの論文「真山青果の『好色五人女』解釈ー八百屋お七の「匂い」ー」(『立教大学日本文学』118号、2017年7月)。
国文学研究資料館の文献資料調査で、国際学園で真山青果旧蔵書の調査を過去5年行い、古典籍の方は今年度調査終了となった。色々な奇縁で、このプロジェクトは、展示やシンポジウムへと展開してきた。さらなる展開もありそうだ。
丹羽さんは、この調査チームの仲間であり、シンポジウムにもご登壇頂いた。
この論文も、この調査と無縁であるはずがなく、現に、国際学園の青果旧蔵書が論文中に使われている。
青果は『五人女』の現代語訳に何度も挑戦しているが、ちょうどそれは厳しい性愛表現の検閲の時期と重なっていた。青果は、西鶴の「匂い」表現に好色性との関連を見出し、それを基に、「匂い」を取り込んだ現代語訳を行ったという、説得力のある論が展開されている。
真山青果旧蔵書調査団メンバーの成果なので、備忘としてここに記す次第である。
2017年09月21日
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