2019年03月23日

象と牛と馬が知的な議論をする話

2017年度の学部演習の受講登録は2回生のTさんがたったひとりだった。『英草紙』の注釈をするもの。担当をひとりでやるため、あまりに負担が大きいため、授業の目的のひとつである「板本のくずし字を読めるようになる」という学習目標を重視することにして、くずし字解読の訓練の時間を大幅に増やすべく、未翻刻の「奇談」書、『三獣演談』の翻字をすることにした。大学院生のFさんも自主的に聴講してくれ、またくずし字を勉強したいという国語学のM君も加わって読み進めた。この作品、授業で一部紹介したことがあり、「全文読みたい!」という希望もあったので、いつかは翻刻をやろうと思っていたのである。この際、概説と諸本解題を付して刊行しましょうかと提案したらTさんFさんとも乗ってくれて、2018年度は自主的に我が研究室に定期的に集まって読み合わせなどを行った。そして予定より遅れに遅れたが(これは私の怠慢のせいだが)、なんとか年度内に完成した。概説はTさん、諸本解題はFさん。Fさんはこのために、仙台へ、東京へ、天理へ。尾道の藤沢毅さんがやっている読本翻刻シリーズに倣ったものである。この冊子、京都近世小説研究会、上方読本を読む会、6月の近世文学会や授業などで配布予定。是非欲しいという方にはご相談に応じますので、コメント欄にでも。PDF公開もいずれ、と考えている。三獣とは象と牛と馬で、これは享保十四年の象の来朝をふまえ、同年に江戸で出版されたものである。三獣がなかなか知的な議論を展開するのである。
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