2019年04月26日

へんちくりん江戸挿絵本

 小林ふみ子『へんちくりん江戸挿絵本』(集英社インターナショナル新書、2019年2月)。この本も2ヶ月前に紹介を予告していたものです。大変遅くなって申し訳ございません。
 小林さんも今や中堅。国際的・学際的に活躍している女性研究者。これからの江戸文化研究を引っ張っていくことになる一人である。
 私の偏見かもしれないが、戯作研究者は、戯作を真面目に扱い、論じる方が多い。あの方も、あの方も・・・。
 その中で、文章が軽やか〜な感じがするのは鈴木俊幸さんあたりだが、小林さんも明るい文体で、戯作の一般書を書くのにぴったりである。
 縦横無尽に江戸のパロディ絵本の面白さを説いてゆく。中野三敏先生のいう、真面目とふざけの弥次郎兵衛。つまり、真面目な本がびくともしないくらいの存在感をもってリスペクトされているがゆえに、パロディは安心してそれを茶化せるという構造が、この本を読むと、具体的によくわかる。
 神仏・思想・学問・文学・・・・と章立てされた中に並ぶのは、江戸時代に理屈無しに仰ぎ見られていたものたちとそのパロディである。ただ、「へんちくりん江戸挿絵本」というタイトルは、ちょっと惜しい感じが個人的にはする。この本はパロディ戯作から、パロディされる側の江戸時代の文化を照射する仕組みになっている。へんりくりんな本をただ紹介しているだけではないからである。
 『へんりくりん挿絵本から見る江戸』ってのはどうでしょう?は?ダサい?やっぱりそうですか。すみません。撤回します。
posted by 忘却散人 | Comment(1) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
へんちくりんの名のもとの本書のねらいを的確に表現してくださいまして、どうもありがとうございます。
戯作を通してこの時代の戯作読者の〈常識〉の及ぶ範囲を映しだすようにできたら…という構成でした。とはいえ文字通りの小著、できることは限られているのですが・・・・
Posted by こばやしふみこ at 2019年05月09日 16:53
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