2019年06月03日

〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典

長島弘明さんの東大ご退職記念となる『〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典』(文学通信、2019年5月)が上梓された。
まことにおめでたい。
この辞典の素晴らしさは、まず、企画である。これまでにないアイデアの「読む」事典ですね。もちろん、索引を使って、引く事典としても使えるし、ジャンル別の索引があるのも便利である。
そして、すべての執筆者が、直接間接に教え子だということ、それが約40人、というのは本当に驚くべきこと、みなさん第一線で活躍している方ばかりである。今、自分の教え子だけで、多ジャンルにわたる事典が作れるというのは、近世文学では長島さんしかいないだろうが、それにしてもこの人数は突出しています。
一般の方向けに、平易に書かれているとはいえ、専門家にもとても役立つ本になっている。信頼できる著者により、最新の研究を踏まえた文献案内が付されているので、安心である。
このようにジャンルを解体し、テーマで分類することで、江戸文学の新たな魅力が再発見される。
奇妙な本を集めているように見えて、スタンダードもほとんど網羅している(少しの例外はあるが・・・)ところも、本書が広く読まれ、また公共図書館や大学・高校の図書館に置かれるだろうなと想像できる理由である。
ソフトカバーにして、価格もリーズナブルな設定。卒論に近世文学を選ぶ学生に、まずこれを読んでみて、と勧められる1冊でもある。
今回は、〈奇〉と〈妙〉がテーマだった。テーマを変えてもいいから、古稀記念でも、1冊出して欲しい。江戸文学には、まだまだ、傑作・問題作・爆笑作はいくらでもあるのですから。あ、そのためにはこの本、売れて欲しいですね。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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