2019年07月18日

岩田秀行『江戸芸文攷』

少し前に出た本を、これから少しずつ紹介していきたい。
まず岩田秀行さんの『江戸芸文攷−黄表紙・浮世絵・江戸俳諧−』(若草書房、2019年4月)。
岩田さんといえば、近世文学研究者・浮世絵研究者からリスペクトを受けている優れた研究者である。
この本には入っていないが、東洲斎写楽は「トウジュウサイシャラク」と江戸時代は読まれていたことを説得力ある用例帰納で実証した論文もある。東洲斎だけでなく、雨森芳洲や、五井蘭洲も、濁って読むべきであると。この説はまだまだ流通していないが、やがて辞書の項目もそうなるだろう。
黄表紙篇では、黄表紙『明矣七変目景清』についての徹底的な分析が、これぞ戯作研究!と賞賛したくなるほど、すばらしい。黄表紙作者の、というか天才京伝の脳内ツアーをしている感あり。
浮世絵篇ではやはり「「見立絵」に関する疑問」という名論文が、光る論文群の中でもとりわけ光っている。この論文ぬきに「見立絵」は語れない。
江戸俳諧篇は、「江戸座」についての研究が独擅場。
岩田さんの論文はこの本所収以外にも多く、西鶴諸国はなしの紫女の論も忘れがたい。同じ篇の論文を書いた井上敏幸先生が「脱帽だ」とおっしゃっていた。
ただ、本書にまとめていただいただけでも、本当にありがたい。

posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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