2019年11月03日

妙法院特別展「皇室と妙法院」

 秋は展覧会の季節でもある。京都ではいまあちこちの有名寺社等で特別展観・特別公開が行われている。いわゆる開帳である。
 東山の妙法院では、「皇室と妙法院−御物の世界−」の展示が行われている。10日までである。
 私にとっては絶対に見逃せない展示。なぜならば、「真仁法親王日記」が出ているからだ。現在天明七年の分しか存在が確認されていないのだと思うが、まさにそれが見られるのである。なんて、大きな字。五センチ四方もありそうな。いろいろ考える。これは内容はもちろん日記だが、書の手習いなのではないか。それかあらぬか、展示部分は大師流師範の岡本保考への入門の記事である。この入門を機に、別の冊子に書いていた日記を、ちょっとさかのぼってこの大きな字で「清書」したのではあるまいか?(解説では入門以前から既に大師流の書を嗜んでいたとする。もちろんそう考えても全く問題はない) 初公開のものがいくつかある光格天皇の真仁宛書簡も多数展示されていた。書体といい、内容といい興味津々である。光格天皇もまた、大師流を学んでいた。そして光格天皇と真仁(光格の異腹の兄にあたる)の関係の微妙さが、この書簡から伝わって来る。とりわけ「頓首」を何度も繰り返したり「死罪死罪」と書き付ける異様な文面をもつ1通に瞠目した。光格天皇は確か、後桜町天皇にも、何度も同じ言葉を繰り返す書簡を出していて、このあたりの心性は注目される。
 他に面白かったのは、後水尾天皇が、徳川家康三十三回忌のために作られた「蜘蛛手」といわれる遊戯性の高い工夫をした十六首の和歌など。蘆庵の蜘蛛手を思い出させる。後光明天皇手沢の四書集注は、小本(その規格よりさらに小さい?)で、意外でであった。
 ともあれ、私にとっては超興奮の展示。その勢いで、すぐ近くの京博で行われている佐竹本三十六歌仙絵展に向かったことはいうまでもない。これば別エントリーで。
 
posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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