2020年05月30日
はじめての古筆切
日比野浩信さんの『はじめての古筆切』(和泉書院、2019年4月)。もう出版から1年以上。すでに定評のある古筆切入門書である。古い筆跡の書籍が切断されたもの、それが古筆切。美術的な価値、文学的な価値、史料的な価値・・・さまざまな立場から重宝され、収集の対象となってきた「古筆切」の基本知識、そしてその魅力を、ここまでわかりやすく書けるのは、日比野さんの古筆切についての豊富な知識と愛情のなせる業。しかも、ほぼご架蔵の資料を使われた解説である。ゆえに図版をふんだんに使っている。さて古筆切の価値とはどんなところにあるのだろうか。それを最初にまとめてくださっている。1古さ、2美しさ、3有名さ、4珍しさ、5資料性。断簡だから、同じ書籍のツレがある。でもそれは別の呼ばれ方をすることがある、何故?という謎解きの面白さもある。まさにモノからの古典文学研究入門である。くずし字を勉強して、ある程度上達した人は、きっと古筆切を読みたくなりますね。刀剣に通じるところもいろいろあります。価格もリーズナブル。お勧めの一書です。
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