2021年02月27日

小津桂窓書簡集

菱岡憲司・高倉一紀・浦野綾子編『石水博物館蔵 小津桂窓書簡集』(和泉書院、2021年2月)が刊行された。原簡の画像のDVDの付録も収めている。
この書簡、川喜田遠里と桂窓の、本をめぐるやりとりがほとんどなのだが、近世後期の学芸・読書の空気が実にリアルに伝わってくる書簡群で、無類に面白い。しかし、この伊勢の豪商たちの、実に広範な本への関心、その耽溺ぶりと、冷静な批評眼には驚くしかない。いろいろ付箋をつけていたら、付箋だらけになってしまった。『近世畸人伝』に掲載された人物の書画を集めて九十人っばかりになったけど、アンタも集めてんでしょ?とか、宣長の説はよいけど道はダメねと評したりとか、看過できない記事がたくさん。中でも、桂窓の秋成クラスタぶりは尋常ではない。「をだえごと」とか「江の霞」とか、超マニアック。好きなのね?と、こちらも嬉しくなります。
この書簡集を翻刻して年代順に並べるのは大変なご苦労があったと思われる。解説でそのことに言及されているが。
また、書名に『』を付して下さっているのはありがたい。これは簡単なことではない。なぜこれを書名と認定できたのかしら、と思うものもあるくらいで、よくぞ付してくださいました。これは通読する際にとても助かりました。
さて、小津桂窓こと久足の面白さ、翻刻が整えば整うほど、明らかになってきましたね。久足を視点とした文化論もありでしょう。現代の久足といってもよい菱岡さんに期待するところ大であります。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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