2021年08月28日

学会記(EAJS2021オンライン)

昨年コロナのために1年延期されたEAJS(ヨーロッパ日本研究協会)国際会議inベルギー、残念ながらコロナが長引いているので延期後もオンラインで行われました。今回は、エドアルド・ジェルリーニさんのお誘いで、「文学遺産の再利用と再創造」というテーマでパネリストの一人としてプレゼンしました。AAS in Asia以来、2回目の国際会議発表ですが、前回と違ってお知り合いの方の参加が多く、この点かなり気持ちが楽だったのですが、ヨーロッパを中心に日本研究だけで1200人も参加する5日間にわたる国際会議で、同じ時間帯に10以上のパネルがあり、タイムテーブルを組むのも大変でした。我々のパネルは最終日だったので、みなさんの発表や質疑応答も大いに参考になりました。また、予想以上に日本語の発表・質疑応答が多かったのも安心しました。私自身は、例によっての無謀なチャレンジ志向で、プレゼンのみは英語でやり、質疑応答は訳してもらうということにしました。蓋を開けてみたら、案外みなさん日本語で発表質疑されていて、ちょいと拍子抜け、我々のセッションでも発表者の中で私だけが英語ということになってしまって「えええ!」と思ったのですが、しかたありません。当初、機械翻訳を頼りに自分で作った英文を校閲業者に出そうかと思っていましたが、どうにかなるんじゃないかと不敵な気分になって、原稿をセッションメンバーに見てもらったところ、いくつか修正をいただき、それを元に少しまたブラッシュアップしたものをそのまま原稿としました。ただ読み原稿を聞き取ってもらえない可能性を考え、パワポに分割して、全文を載せました。おおむね1枚1分で読むくらいにしました。まあ、読み原稿をそのままパワポに載せている人というのは今まで私もみたことないのですが、背に腹は代えられません。
さて、いくつかのセッションを視聴、国内学会と違って、新しい研究概念・方法の提唱がなされたり、領域横断的・本質的な議論が交わされたり、国際会議らしさを味わうことができました。また女性だけのパネルが結構あるのも、ヨーロッパの学会らしいですね。日本じゃあんまり考えられません。
コーヒーブレイクの時のネットワーク懇親会的な集まりに参加する方法がいまいちわからなく(一度はいってもると知り合いが誰もいなかったり)、また人もそんなに来ていなかったので、新たな人との出会いという点ではやはりオンラインの限界があったかなと思います。馴れればまた違うのでしょうが。
 私たちのセッションはジェルリーニさんが趣旨説明のあと、荒木浩さんが、考古学の成果を取り入れたり、羅生門のような建築物がテキストによって作為されたり、遺産化する例など、スケールの大きいテクスト遺産論を展開、ついで私が、源氏物語への言及自体を虚構の中に取り入れる学説寓言の文学遺産性について、盛田帝子さんが、光格天皇が源氏物語の花の宴の場面取りというべき宮廷復興を行った事例を発表、ディスカサントのレベッカ・クレメンツさんが、文学遺産というタームを使う意味、それをオーディエンスにどう見せるのかというような質問を投げ、活発な議論が交わされました。参加者も46名と多く、感謝感謝です。私のようなロートルでも、初々しい気持ちで爽やかな気持ちで国際会議を終えることができました。
 それにしても国際会議は、それに参加するための手続きや、連絡が全部英語で来るので、これを読むのに鍛えられますね。機械翻訳にかけるだけでも結構勉強になるのです。そして今回のオンラインシステム、使いこなせば相当いろいろなことが出来そうでした。とくに疑似コーヒーブレイクシステム、よく出来ていました。
 あまり、具体性も面白みもない報告ですが、学会参加記は習いなので書きました。少しでも何かの参考になれば幸いです。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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