さて、1年7ヶ月ぶりに東京。長らくできなかった資料調査を土曜午後、日曜午前で行い、なかなかの収穫があった。やはり、現物を調査するということで、ネットの画像データだけでは得られないものを得ることがあるが、今回もそれである。画像だけでは得られない情報とは、出納してもらってはじめて出てくる所蔵者のメモ(おおむね画像データでは省略されている)とか、紙質など。今回、私が土曜日に調査したある叢書の中の作品は、それだけ紙質が違っていたし、日曜日に調査したものは、旧蔵者の貴重なメモがあり、そのメモのおかげで重要なことに思い至った。調査自体久しぶりで、ただでさえ昂揚していたが、次々に「当たり」が出ると、目が覚めるというものである。
そして、午後は、東京駅近くの丸善4階ギャラリーで行われている、慶應大学図書館所蔵貴重書展「蒐められた古(いにしえ)−江戸の日本学−」の展示へ。あらかじめ予約していた一戸渉さんのギャラリートークを聴きに行く。この展示、実は近世上方文壇における堂上と地下をつなぐキーパースンのひとり、橋本経亮旧蔵の書物や遺品の展示なのである。20人までと制限されていたが本当に20人くらいいた。中には、よく存じ上げている研究者の方も。
さてこの展示、あらかじめ図録をざっと見ていたとはいえ、やはり現物とトークで格段に理解が深まった。一戸さんに感謝である。
コーナーは「あつめる」「うつす」「しらべる」「えがく」「つくる」「つながる」「つかう」「つたえる」に分けられ、それぞれ、スゴイ目玉がひとつならずいくつもあるという贅沢な展示。いくつか1では、新出の自筆『橘窓自語』。これまで随筆大成で読んでいたが、異文があるということで、翻刻紹介がまたれる。2では、唐の許敬宗奉勅編の『文館詞林』の、佚文とされていた一部がこれでわかるというキツい写し。3ではまるで宝物だらけの「香果抜粋」。4では文晁えがく足利学校宣聖像など。6では経亮のために書いた蘆庵自筆の「ふりわけ髪」や蘆庵書簡、天明から秋成と経亮の交友を示す秋成の朱の添削。7では光格天皇の后となる欣子内親王の立后の儀式の敷物に使われた法隆寺の古い宝物のキレの写し。・・・あっ、自分の関心に引きつけて書いてしまいましたが、他にも満載。展示は12日までです。江戸の好古、尚古に興味のある方は、是非足をお運びください。駅の近くで交通至便。無料です。
2021年10月10日
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