退職・転居にともなう様々な手続きと、後片付けがなかなか終わらない。とはいえ、新しい環境はなかなか新鮮で、買い物がてら近所を探訪し、美味しい物を安く売っているお店をみつけたりして喜んでいる。
そうしているうちにも、時間はどんどん過ぎてゆく。たのまれている講演もあと10日ちょっとだし、6月の学会のシンポジウムではディスカサントをつとめることになっている。ピンチヒッターで急遽頼まれたふたつ授業のうち、ひとつは大人数のため、準備もけっこう大変(リアクションペーパーにフィードバックするので)ではあるが、結構楽しくやらせてもらっているのは長年の習いか。
さて、そういう中で、ここ数ヶ月、いただいた本についてコメントをずっとさぼっている。ブログの更新回数もめっきり減っているところ、反省している。おいつけるかどうかわからないが、少しずつ少しずつ・・・。
今日は、大阪大学の学生サークルが出している『待兼山文學』2022上半期号を紹介する。この同人誌、ありがちな文芸誌とはちがってちょっと学術色があるのが特徴で、以前私もインタビューを受けたことがある。
今回の特集は、大阪大学の刀根山寮の寮長らへのインタビューと、マルグリッド・デュラス『破壊した、と彼女は言う』の読書会記録。そして投稿作品のなかになんと、自分の持っている写本紀行文の注釈付き翻刻(それも連載第1回)がある。この著者Sさんは、入学直後に、漢詩文の稿本(和本)について私に質問してきて驚かせてくれた人で今3回生。現在日本史専修で近世出版史や思想史をやりたいという人である。こういうものが阪大の学生の同人誌に載っていること自体、ここに書きとめておく価値のあることだろう。盛岡藩士が地元から江戸経由で甲府・伊勢・そして大阪へと旅した記録で、今回は江戸にいたるまで。非常に面白い史料で、この史料だけでも論文が書けそうだ。
また本誌には「暖」というペンネームで「江戸文学と序文と勧善懲悪」という評論を書いている人がいるが、この人はこの人で、どうも私のよく知っている学生のようである・・・・。
2022年05月21日
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