2022年11月21日

久保木秀夫さんのレクチャーを聴く

 非常勤の出講日の今日、たまたまではあるが、久保木秀夫さんが、その大学に講演に招かれていた。院生たちが呼びたい研究者を呼ぶイベントらしい。私の授業に出席している学生さんが、「先生もいらっしゃいますか?」とかねてから誘ってくれていたので、「(ラッキー!)もちろん」と、楽しみにしていた。 折りしも、今日は名物クリスマスツリーのイルミネーションの準備も完璧のようである。授業が終わって、さっそく講演会場に移動。控室に久保木さんはいなくて、すでに書画カメラのところで、数十の古典籍を積んで、準備をされていた。
 「これ、全部持って来られたのですか?」「ええ、あの海外旅行用のキャリーバッグに」「(ひょえかー!)全部、ご自分のですよね?」「ええ」。
 講演は「古い書物の面白さー國文学研究と書誌学ー」と題して、久保木さん自身の研究経験(学生時代・国文研時代、鶴見時代)をほぼ時系列に辿って、現在の集書に至るまでの、気づきや、集書テーマの形成をお話しいただいたあと、具体的にどのように古典籍を扱っていくか、興味深い具体例をいくつも示された。小学生向け和本レクチャーでは、小学生が有名古典の原本よりも、明治ごろの雑本に興味津々だったという経験を話された。たしかに、明治の和本にはモノとしての面白さが満載だ。和漢洋が融合した試み、英語教科書の和本や、新約聖書の和本などの実物を紹介された。左綴じの和本や、鳥羽絵の絵本とその板木のなど。小学生ならずとも面白い。
 しかし、やはり真骨頂は古写本・古筆切の話だ。若い頃から、のコツコツと集めた古筆切の写真は何万点。その知見があってはじめて、とてつもない原物を入手するチャンスをものにできるという話の実例をいくつか。入手方法もさることながら、わずか一葉の紙と記載内容から、これだけの情報が引き出されるという超スリリングな展開。むかし、中野三敏先生から伺った、「本の方からしかるべき人のところにやってくる」の話を思い出した。
 超レア本を含む、古典籍を、全て学生に開放、学生さんは、大喜びで、本を触っていた。
 とても、いいレクチャーを受けた。教室に出ると、とっぷりと暮れていて、クリスマスツリーのイルミネーションが無数の光を放っていた。
posted by 忘却散人 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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