21年間の大阪大学在職中、卒論生は毎年1人〜4人であったが、それでも40人くらいは、いる。公務員や教員や、IT企業やアパレル関係や、いろいろなところに就職して、がんばっている。その中のひとりに、中堅の出版社に就職した人がいた。大企業からも内定をもらっていたが、出版社に決めた。それが淡交社にいた八木育美さんだ。私の敬愛する歌人伊藤一彦さんの連載の担当もしていたが、浅田徹さんの『和歌と暮らした日本人』も担当したという。これは、少し前に出た本ではあるが、このたび、少し連絡をしていただくことがあって、彼女から「自分が担当した中でもお気に入りの本」ということで、送っていただいたものである。
雑誌に連載したものの単行本化であるが、国文関係の出版社ではないから、古典文学研究者でも気づいていない人がいるかもしれない。
読んでみると、たしかにいい本である。4章構成だが、特に第3章と第4章は、浅田さんの専門的な知識、研究成果が惜しみもなく披露されている。しかし、一般向けに実にわかりやすく書かれている。私など、蒙を啓かれること少なからず。また、よい本には必ず備わっている、なぜか私の研究のヒントになる記述が、1つ2つに留まらない。さすがである。
和歌がどう生活の中で使われてきたかに焦点をあてたもので、入門的な和歌の本としては、類書がないと思う。2019年9月刊。
2023年02月20日
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