東京学芸大学の「叢の会」。1979年以来、40年にわたって、メンバーが草双紙の翻刻・解題を『叢』という手作りの雑誌に発表し、草双紙研究に多大な貢献をされてきた。それだけではなく『草双紙事典』や『初期草双紙集成』なども刊行してきた。『叢』という雑誌自体は、活動を休止したが、会の活動は続いていたらしい。その成果が素晴らしい形となって登場した。それが『江戸の絵本読解マニュアル』(文学通信、2023年4月)である。
近世文学研究者だけではなく、小中高の国語の先生や、絵本に興味をもつ一般読者も意識して、親切丁寧な本作りになっている。企画・編集段階で相当時間をかけているとみた。
草双紙とは、絵を主体とした娯楽読み物。子どもだけではなく大人も楽しんだ気楽に読めるこぶりで薄い造本の娯楽品である。草双紙のしくみ、その歴史、そして具体的な作品に即して丁寧に説明される、その作り方と読み方。教材としての使い方などなど。参考文献も非常に有益。
なにより、この草双紙の解説から、江戸の生活・文化・教養へと導かれてゆき、江戸の理解につながる仕組みは素晴らしい。非常によく考えられた入門書であり、とくに小中高の先生方にお勧めしたい。幽霊や妖怪についても、学ぶところ大ですぞ。
2023年05月26日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック

