『上方文藝研究』20号(2023年6月)が刊行された。今号は、若くして亡くなった正木ゆみさんの追悼特集号であった。正木さんが研究者として日本近世文学(演劇)研究に多大な貢献をされたことは言うまでもない。『上方文藝研究』は、19年前に創刊された。当時、大阪大学文学研究科の日本文学研究室には、古代中世文学研究の雑誌『詞林』があったが、近世文学研究の雑誌はなかった。阪大の院生らが研究成果を発表できる雑誌を作ろうとしたが、これは私と院生だけでできるわけがなく、阪大のOBの方数名にまずはご相談し、ご協力を仰いだのである。
そのなかの一人が、正木ゆみさんで、本当に「献身的」ということばがぴったりのお働きで、私を助けてくださったのだ。御恩返しもできないままで、忸怩たる思いがあった。20号を正木さんの追悼号にすることに迷いはなかった。幸いに多くの賛意を得て、たくさんの原稿が集まった。正木さんのご人徳である。今号は140ページ超で、合併号なみのボリュームである。
私も特集にエッセイというか論文もどきを寄稿した。俳諧紀行文に虚構のキャラクターを登場させることで、一種の文学論を展開する。これは和文紀行の『秋山記』でも取った方法。読本などの読み物ではなく、自分自身の紀行にそういうのを登場させるというのは実に秋成っぽいと私は思う。
さて、先週の土曜日、20名弱が集まって、いつものように合評会が行われた。合評会を厳しくも温かい研究交流の場にしたのも、正木さんの功績。とにかく事前の予習が半端なかった。会場は神戸大学。私の退隠とともに、事務局も神戸大学に移り、有澤知世さんが代表をつとめている。懇親会も当然いつもと違って三宮のおしゃれなレストランだった。そして正木さんに献杯。
そして、これからも上方文藝研究をよろしく。
2023年07月19日
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