2025年01月31日

六如の和歌題漢詩

近世文学会の学会誌『近世文藝』121号(2025年1月)に、王自強さんの「六如の和歌題漢詩について」が掲載されていて、近世上方文壇の人的交流を研究テーマのひとつとしている私としては、非常に勉強になった。私は特に妙法院宮真仁法親王の文芸交流に興味を持っているが、真仁が力を入れていたもののひとつが詩歌会(漢詩と和歌と同じ場で詠む会)で、六如はその常連の一人であった。王さんは、中世からの「和歌題漢詩」の流れという縦軸と、妙法院宮サロンとその兄公延入道親王の詩歌会という横軸(場)の両方から、六如の和歌題詩の定位を試みるスケールの大きな論を展開した。和歌題漢詩という視座と、公延詩歌会という場については、とても勉強させていただき感謝である。王さんの考察は作品の内容にも及び、『頓阿句題百首』の影響を立証した。同時期の歌人もまた頓阿の句題を利用しているし、18世紀には頓阿の家集『草庵集』の注釈書も出ているので、和歌と漢詩の交渉という点でも注目される。そしてこれは、江戸の詩人菊池五山にも及んでいくという。六如は個人的に今注目している詩人なので、私にとっては実にありがたい、タイミングのよい論文であった。
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