よく、いわれる「戦争に利用された国学」。それって何だったのだろう?それを追究したのがこの本である。
「国学的なるもの」は「国学」ではない。しかし「国学」は「国学的なるもの」と同一視され、その誤解は再生産されつづけている。序論で示されるこの問題意識を、各章で掘り下げていく。宣長や篤胤の言説の再検討と、その受容=誤解・誤読の歴史。近世文学の「時代に即して読む」方法は、実は近代の産物ではないのかという問題提起もある。田中さんは、「国学」と「国学的なるもの」とは違うと述べ、その観点から、近代以降、とくに戦前・戦後の「国学」言説を鋭く追究する。川田順、佐佐木信綱、戸坂潤、藤田徳太郎、村岡典嗣、保田與重郎らの言説が検討され、教科書への利用が明らかにされる。
田中さんの国学愛あるいは国学研究愛を強く感じる一書である。

