2025年11月04日

敍説。花田俊典の研究と方法

SNSに書いたこととほぼ同じ内容です。
九州を中心とする近代文学研究者たちの研究同人誌『敍説』。20年前、50代で早逝した九州大学教授の花田俊典さんが創刊したものである。今号はW−3ということだが、さて通巻何号になるのか?40年くらいは続いているはずだ。畏友長野秀樹さん(近代文学専攻)が送ってくれた。福岡の地理に詳しい人ならわかるだろうけど、院生時代、私と長野さんは和白のとある下宿に二人で住んでいて(大きな家の2階に4部屋あって、2部屋ずつ借りていた。キッチンとトイレは二人でシェア、お風呂は1階の大家さんのを使わせてもらっていた。二部屋使えたが破格に安かった)、花田さんは福岡女子大に勤めておられたころ、車で津屋崎の自宅から通勤。女子大からの帰宅途中に、よく我々の下宿に寄ってくださっていた。学部4年くらいから院生時代まで、花田さんの影響を強く受けた。近世文学のことは師に学んだが、古本屋のこと、雑誌作りのこと、その他人生のさまざまなことを花田さんから学び、文字通り兄のように慕っていた。私が山口に赴任してからは、それほど話す機会はなくなったが、私は近代文学の院生と親しかったので、消息は聞こえてきていた。そのうち山口大学の同僚となった石川巧さん(近代文学)も花田さんに可愛がられるようになり、とうとう九大に赴任したくらいである(その後、出身大の立教へ)。石川さんが花田さんの雑誌へのこだわりについて論じていたのは興味深かった。しかし、花田さんは、信じられないことに、まだ50代の若さで亡くなった。
福岡大学で行われた、「花田俊典の研究と方法」のシンポジウムの文字起こしは、だから非常に興味深く読んで、いろいろな感想が湧いてきだ。阪大の斎藤理生さんも花田さんの太宰治の見方について、正面から質問をしている。きっと花田さんが生きていたら、喜んだであろう質問だし、議論になっただろうなと思ったり。そして、最後のあたりに、長野さんが「中野(三敏)先生の一番の弟子は、実は花田さんではなかったかと中古文学の今西祐一郎先生がおっしゃっていたように思います」と発言しているが、これはある意味、その通りで、とくに「研究は自分の買った本だけでやる」というポリシーが共通していると思う。中野先生は和本の蔵書だけで四万冊(洋装本を入れればもちろん軽く六万を超えたか)、花田さんは五万冊ほどだったらしい。中野先生は自分から科研に申請することもなかったように思う。多分花田さんも自分の研究に関して科研を申請したことはなかったのではないか(間違っていたらすみません)。徹底的に細部にこだわりつつ、大きな構想をお持ちであったところも。
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