大山和哉さんの『和歌が生まれるときー近世歌人の方法』(勉誠社、2025年10月)。索引いれて約500頁の堂々たる論文集である。タイトルがなかなか洒落ている。どういうことなのだろうか。
対象は「17世紀に活動した歌人と、その和歌表現」。ならば、「十七世紀」とか近世前期とか、タイトルに出てきそうだが、それがない。なぜなのだろうか?
歌人は「天皇・公家・武将・国学者」であり、「和歌の多様なあり方を浮かび上がらせることを企図した」という。著者の志はとてつもなく大きい。「本書の目的は、人間と和歌、人間と文芸との間に発する霹靂と把捉し、人間と文学とがいかなる関係を結んできたか/結びうるかを記述することである」と。
「おもしろくない」と言われがちの近世和歌が、大量に創られている。このことを考えると「人はなぜ和歌を詠むのか」という問いを立てずにはいられないと著者はいう。「複数の歌人を通して見出される人と和歌との連関のありようについて、その普遍的性質を明らかにする」のが目的らしい。それで、「和歌が生まれるとき」であり、書名にあえて時代を明示していないのだろう。
たしかに、様々な歌人のさまざまな和歌への取り組みを、多面的に考察し、このとてつもない問いの回答を模索した論文集であるようだ。こうした苦闘の試みを読ませていただくと、あらためて、「(人間にとって)(日本人にとって)(江戸人にとって)和歌とはなにか」という問いに回帰させられる。
大きな問題意識を抱えた論文集は、読者にも大きな問いをもたらすらしい。
2025年12月18日
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