2016年02月09日

変貌する時代のなかの歌舞伎

『変貌する時代のなかの歌舞伎―幕末・明治期歌舞伎史』の著者の日置貴之さんとは、ひょんなことから、あるプロジェクトを一緒にやることになった。それもつい最近の話である。先日もミーティングでご一緒したところ。しかも、そのプロジェクトは、日置さんのテーマと関わりが深い。なんでそんなプロジェクトをおまえが、とまたまた言われそうであるが、いずれお話しする時がくるだろう。
ともあれ、そういうわけで、ありがたいことに、本書をいち早く手にすることができたわけである。私のゼミにも黙阿弥の研究を志している学生が一人いることもあり、本書の刊行を、実は楽しみにしていた。
ところでA5判346頁14本の論考(書き下ろし5本)からなるこの大著を、まだ20代の人が書いたというのは、やはり驚きである。こういう例は近世文学研究では、ここ30年くらいはきいたことがない。長島弘明さん・古井戸秀夫さんの指導を受けた人だから、もちろん理論も実証もきちんとしている。
私には本書を評する資格はないが、報ずる価値のある本であることは確かだろう。笠間書院刊、2016年2月。そういうわけで、早速報じた次第。内容について本当になんにも触れてなくてすみません。早いだけが取り柄。
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2016年02月08日

近世における天皇歌壇とその周辺U

研究会のお知らせです。科研の研究会ですが、私、この科研の連携研究者になっております。去年とほぼ同時期に開催となりました。ご関心のある向きは是非。

科研研究会 近世における天皇歌壇とその周辺U
日時 2016年2月28日(日) 14:00〜17:20
会場 大手前大学 さくら夙川キャンパス A棟2階 A24a教室

研究発表
1、一戸 渉(慶応義塾大学斯道文庫 准教授)  14:00〜14:30
  題目:「賀茂社家岡本家文書における入木道関係資料」
  質疑応答                  14:30〜14:45
  ディスカッサント 盛田帝子(大手前大学 准教授)
2、青山 英正(明星大学 准教授)       14:45〜15:15
  題目:「孝明天皇の和歌と志士」
  質疑応答                  15:15〜15:30
  ディスカッサント 合山林太郎(大阪大学 准教授)
        (休憩 20分)
3、加藤 弓枝(国立高専機構 豊田高専 准教授) 15:50〜16:20
  題目:「正保版二十一代集と堂上歌壇―出版背景を中心に―」
  質疑応答                  16:20〜16:35
  ディスカッサント 勢田道生(大阪大学 特任講師)
4、鈴木 淳(国文学研究資料館 名誉教授)   16:35〜17:05
  題目:「妙法院宮真仁法親王と六帖詠草の構想」
  質疑応答                  17:05〜17:20
  ディスカッサント 神作研一(国文学研究資料館 教授)
総合司会 大阪大学 教授 飯倉洋一
  展示 妙法院宮真仁法親王サロン関係資料
主催:科学研究費基盤研究(C)「光格天皇を中心とする堂上歌壇の実態と文芸ネットワークについての研究」(研究代表者:盛田帝子)
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2016年01月30日

師恩―忘れ得ぬ江戸文芸研究者

岩波書店刊。
我々のような日本近世文学を学ぶ者にはこたえられない1冊である。
中野三敏先生が謦咳に接した師友・古書店主34名。その一人一人のエピソードが現代畸人伝たりえている。
その豊かさ。研究を続けていて一番有り難いと思うのは、人との出会いである。
中野先生の学問の広さ・豊かさは、この人々の名前を並べるだけで、なるほどそうかと思わされる。
和漢・雅俗・硬軟・理論派と実証派、京都学派に早稲田学派、大学教授と在野の方。その幅の広さ。
どの方にも、等しく可愛がられ、リスペクトされ、親しくされていたところに、先生の学識と人柄がうかがえる。
どの頁を披いても面白く、また中野先生の今の研究観・大学観・教師観・文化論などが挟み込まれているのが、絶妙の味である。
私が、たったひとことでも言葉を交わしたことのある方は、この中で11名であった。どういう言葉を交わしたかというのは、すべて状況とともに記憶がある。すばらしい先生方ばかりである。
 
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2016年01月23日

漢文学と俗文学の交流

昨日は徳田武先生が、大阪大学に来学され、ご講演を行った。日本漢文学プロジェクト(合山林太郎さん代表)の企画で、そんなに大きな宣伝もしていないのに、50名ほどの方が参加された。参加者名簿は未確認だが、阪大関係者以外の方も少なからず聴講しておられた。
秋成を軸に、漢文学者と俗文学の担い手の交流の具体的様相を、資料を丁寧に読みこみ、また突き合わせて、非常に説得力のある結論を導かれておられた。先生がいずれ公にしようとしている「とっておきのネタ」を、阪大で一足早くご披露していただいた形である。
その結論というのは・・・、おっとここではちょっと申し上げられないが、秋成研究の立場から見ても、唸らされるものである。ひとつの推理であるが、非常に可能性の高いことだと思う。
徳田先生の御子息が阪大のすぐ近くにお住まいということで、御子息もいらっしゃていた。企業におつとめということで、なかなか、お父様のご講演を聴く機会はないだろうから、それもよかったと思う。
懇親会でも、非常に有益なお話を伺えた。秋成研究者は、私も含めて漢文学をきちんとやるべきところ、手が回っていない感じがする。いや、秋成研究者に限らないようで、講演の最後のあたりで、ある画賛の詩の読み方の誤りを指摘しておられたが、ゾッとした。
上方では漢文学者と俗文学者の交流が江戸のように別々にはっていない、その理由についてもお考えをきくことができた。
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2016年01月15日

板木に関する研究会in立命館大学

ノートルダム清心女子大学の藤實久美子さんからの情報。
藤實さんが代表の、科研基盤研究(B)「官版日誌類に関する史料学の構築および戊辰戦争期の情報と地域に関する学際的研究」が主宰する公開研究会が、立命館大学で行われる。

日時 2016年2月11日(木)
13:30会場  14:00〜17:00

講演 板木観察と出版研究  
講師 金子貴昭 (立命館大学・衣笠総合研究機構・准教授)
コメント 「板木『諸侯要覧』と幕末維新期の武鑑出版」 
   藤實久美子(ノートルダム清心女子大学文学部・教授)

会場 立命館大学衣笠キャンパスアートリサーチセンター、多目的ルーム

参加無料。
参加申し込みは、東京大学史料編纂所の研究会参加登録フォームから申し込みを。
http://www.hi.u-tokyo.ac.jp/footer/seminar-entry.html

板木の実物を見ながらのおはなしのようです。

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2016年01月13日

無料の文楽入門教室 in 池田市

大阪府池田市で、無料の文楽入門教室が開催される。近松研究所の水田先生からの情報。

太夫・三味線・人形遣い解説や体験、また演目(抜粋)を上演し、文楽の魅力を分かりやすく解説するということだが、演目は『伊達娘恋緋鹿子』より「火の見櫓の段」。八百屋お七の世界。
とき  平成28年1月30日(土)
  午後2時〜3時30分 (開場 午後1時30分)
場所 池田市立くれは音楽堂(池田市姫室町10−1、呉服小学校内)
定員 240名(先着順)
申込み方法 電話にて事前に生涯学習推進課(072-754-6295)まで申込みということ。
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2016年01月10日

徳田武先生の講演会が阪大で開催されます。

講演会のお知らせです。合山林太郎さんプロデュースです。
わが国際古典籍学クラスターも主催に名を連ねています。懐徳堂記念会も共催です。
徳田武 明治大学名誉教授
「大坂における漢文学と俗文学の交流-中井履軒・頼春水・与謝蕪村・上田秋成・角田九華-」
2016年1月22日(金)
午後4時30分〜午後6時
大阪大学豊中キャンパス 文学研究科本館(4階)461教室

主催:日本漢文学プロジェクト共同研究チーム、大阪大学大学院文学研究科日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築クラスター(国際古典籍学クラスター)
共催:一般財団法人 懐徳堂記念会
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2016年01月09日

大阪大学国語国文学会

毎年1月第2土曜日に行われるこの学会は、午後、院生の発表3本(国語・古典・近代)と講演1本というのが標準のラインナップである。今年は例年と違って、コーエンはコーエンでも、プロの講談師の口演をお願いした。
旭道南海師。実は大阪大学文学部の国文出身の方。奥様もそうらしく、指導教員は伊井春樹先生だったという。今日は、伊井先生も久しぶりにおいでになり、非常に盛り上がった。講談は「真田幸村の大坂入城―『難波戦記』から」で、1時間、たっぷりと聞かせてくださった。みなさん食い入るように聴き入っていた。流石である。院生は、本居宣長の国語学、山東京伝の交遊関係、太宰治の新ハムレットというラインナップであった。それぞれに有意義な質疑応答だった。学内学会というのは同窓会的側面があって、独特の雰囲気がある。今回はいろいろな要素があって、その同窓会的な感じがいい意味で前面に出ていたように思う。東京から来てくださった福田安典さんの「自分の指導教員が去ったとしてもここにはきましょう!」という言葉が印象的であった。懇親会席上で、ある教え子から「『上田秋成研究事典』読みました。「菊花の約」の研究史、すごいですね」と言われた。「すごい」というのは、私の論文の批判のされようについてなのですが・・・・。でも、どうやら反論の場がありそうなので、近いうちに発表いたします。
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2016年01月05日

『書誌学談義 江戸の板本』が文庫に

引き続き中野三敏先生関係だが、名著『書誌学談義 江戸の板本』が岩波現代文庫から、文庫版として装いも新たに登場した(2015年12月)。言わずと知れた板本書誌学のバイブルである。江戸の板本を扱う人、板本の知識が必要な人は、座右に置くべきである。近世文学を卒業論文に選んだ人、そして日本文学(日本美術史などの関連分野もふくめて)を研究するすべての大学院生だけでなく、日本古典を扱う大学・高校・中学・小学校教員は必読だと思う。古典の見え方が変わってくるはずだ。あとがきでは和本リテラシーの必要性が説かれている。日本近世文学会の「和本リテラシーニューズ」をはじめとして、先生のこのご主張は近年ようやく理解されてきたところがある。むしろ海外の大学での変体仮名学習アプリの開発や、くずし字教育の普及にみるように、世界の方が敏感に反応しているとも言える。私たちが取り組んでいるくずし字学習支援アプリの"KuLA"も、「板本が読める」を目標に、板本から文字を集めている。"KuLA"で勉強する人にもお勧めの一冊である。スマホ用くずし字学習支援アプリの"KuLA"は、2月17日前後に公開予定。
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2015年12月19日

本居宣長の国文学

今年の流行語にもなった「ルーティーン」。すぐれた研究者は、たいてい「ルーティーン」を持っているなと思う。多分田中康二さんも、それがある。

『本居宣長の国文学』(ぺりかん社、2015年12月)のあとがきを読んで確信した。本をつくるために、授業を構成し、紀要に書き、本にする。今回の初出は、本務先と非常勤先の紀要がほとんどである。完璧に計画通りにつくられている。

さて、『本居宣長の国文学』。あまりにも自明なようで、検証されていなかった、宣長学と国文学との関係を、実に科学的に分析しているところに本書の値打ちがある。

その具体的な方法として宣長の著作の受容と、研究法の継承という二つの視点から、考察されている。正攻法であり、的確。とくに第2部の章立ては興味深い。現在の国文学の問題の立て方、研究の方法は、宣長から出てきているのか、と思わされる。

 ぺりかん社から宣長関係が3冊になり「宣長三部作」を謳う。加えて、中公新書と、新典社選書もある。この筆力は、たぶん「ルーティーン」から来ているのだと、私は確信する。
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2015年12月15日

王昭君詩と大石良雄

大阪大学国語国文学会の刊行する『語文』第105輯に、拙稿「王昭君詩と大石良雄―『新斎夜語』第一話に「名利」説をめぐって―」を書きました。『新斎夜語』はあまり知られていない前期読本ですが、談義本的な色彩の濃いこと、すでに徳田武先生のご指摘があります。一応その中の冒頭話について少し考えるところを述べてみたものです。
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2015年12月07日

ジョイントシンポ・江戸庶民文化の諸相

 12月10日から12月12日までの3日間、ハイデルベルク大学において、ハイデルベルク大学と大阪大学のジョイントシンポジウム、「人文学における日本研究 江戸庶民文化の諸相」が開催されます(使用言語日本語)。初日がプレシンポジウムで翻訳ワークショップ。2日目、3日目がシンポで、日本(阪大)とドイツから合計10名が、江戸庶民文化について、さまざまな視点から考察し、発表いたします。私も往来物の絵双六を題材に発表予定です。詳細はこちらをご覧下さい。

 11月にも、古典籍のデジタル化や、くずし字教育についてのシンポジウムでハイデルベルク大学に行ったわけで、そこでも発表させていただきましたので、わずか3週間ぶりでの再訪となります。街はクリスマス一色だという情報が入っています。
 11月のシンポジウムも非常に有意義でした。いずれご報告をと思っております。参加者はそんなに多くはないのですが、質疑応答時間を発表時間と同じくらいとるということがいいみたいで、参加者の一体感のようなものがあり、副産物も多いと実感しました。今回は江戸文化がテーマですが、そのとらえ方自体、おそらく十人十色で、これまた面白くなりそうです。質疑応答時間を長くとるというのも11月と同様のようです。新しい出会いもありそうで、楽しみです。前回は出発の日に航空会社がストライキで急遽他社便に変更し香港経由でドイツ入りしたため、行きが非常な長旅でしたが、今回は予定通り運航していただきたいと願っております。
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2015年11月30日

蘆庵・蓮月・鉄斎をつなぐのは

2015年12月6日(日)、宝塚市立中央図書館で、第4回聖光文庫文化講座。13時45分から「小沢蘆庵・大田垣蓮月・富岡鉄斎」という演題でしゃべります。ちと荷が重い。15時からは、河田昌之先生が、「和泉市久保惣記念美術館と鉄斎―三幅の掛軸と中国鏡―」でお話しされる。
 蘆庵と蓮月と鉄斎を繋ぐのは「心性寺」である。蘆庵の墓所心性寺に蓮月が鉄斎の父の斡旋で隠棲していたことがあり、鉄斎は蓮月に従って同居していた。その心性寺は明治に入って廃され今はない。蓮月が蘆庵に私淑していたことは、蓮月が熱心に蘆庵の歌集を読んでいたことから明らかであるし、加藤弓枝氏の報告によれば蘆庵50回忌の歌会に蓮月も出詠している。
 蘆庵はもちろん秋成と深い関係があるが、蓮月尼は・・・。秋成に歌を学んだとされるのだが、それを裏付ける資料はない。村上素道の「大田垣蓮月傳」によれば鉄斎が語ったことがあったようだが。鉄斎はその祖先の富永維徳が蘆庵門人であるし、秋成肖像を模写しているし、その息の謙蔵はいわゆる富岡本春雨物語を所持していた。いろいろと繋がりのある話だが、まとまりは・・・ないですよね。数珠繋ぎのような話にならざるを得ないのだが、お許しを。
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2015年11月28日

ふたたび西鶴in京都

京都近世小説研究会の12月例会が下記のように催される。普通ここに告知はしないのだが、今回は会場・発表者ともに、西鶴ワークショップ以来のスペシャル版となるので。そして発表内容も西鶴特集である。
今回は、東京の、西鶴研究者ではないけれど、西鶴研究に積極的にかかわってこられた、まあどちらかというと秋成研究者のお二人をお招きしてやることになった。その発表題目もなかなか挑発的と見える。期せずしてこういう成り行きになったのであり、西鶴ワークショップ第2弾という意識ではなかった。しかし、会場も京都駅近くとし、遠い方でも西鶴に興味ある方は是非いらしていただきたい。終了後の懇親会にも。参加希望の方は、研究会・懇親会への参加希望を書いて、下記の研究会のアドレス(担当久岡明穂さん)までお申込みいただきたい。

京都近世小説研究会(12月)の御案内
  記
日時 12月20日(日)

■研究発表会 14時〜17時半 会費500円
キャンパスプラザ京都 2階第3会議室 (京都市下京区西洞院通塩小路下る)
http://www.consortium.or.jp/about-cp-kyoto/access

井上泰至氏「『武家義理物語』を面白く読む/読めなくする視点
―巻二の四・巻六の一を中心に―」

木越治氏「よくわかる西鶴─『好色五人女』巻三の文体分析の試み」

参加を希望される方は、12月10日までに、
kyotokinsei(アットマーク)gmail.com 久岡(京都近世小説研究会幹事)まで
お知らせ下さいますようお願い申し上げます。
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2015年11月21日

日仏文学・美術の交流

 大手前大学夙川キャンパスで、今日から行われている日仏文化交流シンポジウム、「日仏文学・美術の交流―トロンコワ・コレクションとその周辺 その2」は、明日まで。一昨年行われたシンポジウムの続編で、添付のようなプログラムである。
 トロンコワは、フランスにおける日本美術史研究の黎明期に活躍、明治27年から43年にかけて日本に滞在し、多くの業績を残したが、一般にはほとんど知られていない。しかしクリストフ・マルケ氏によって、そのコレクションの全貌が明らかになっている。トロンコワ・コレクションの多くを所蔵する、パリ国立高等美術学校と大手前大学は交流協定を結んでおり、2年前にその締結記念のシンポが行われた。
 今回は、トロンコワコレクションの展示もあり、マルケ氏のトロンコワ旧蔵の京伝『近世奇跡考』草稿本の発表も今日あったようだ。明日も引き続き興味深い発表が予定されている。なお、コレクションの絵画をかなり図版にした案内パンフレットを来場者に配布されるということである。otemaejfcis.pdf
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2015年11月06日

国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍」

2016年2月17日(水)、大阪大学豊中キャンパス内、大阪大学会館アセンブリー・ホールで、国際シンポジウム「読みたい!日本の古典籍―歴史的典籍の画像データベース構築とくずし字教育の現状と展望」を開催いたします。告知第1弾ですが、今後も何度か告知いたします。
また、学会や研究会などに関係者がチラシを持参し、配布させていただくことがございます。よろしくお願いいたします。

この国際シンポジウムですが、世界各地から「画像データベース構築」と「くずし字教育」に関わる研究者・ライブラリアンをお招きし、その実践についてお話しいただきます。チラシをつけておきます。裏もあります。英文版です。

○国文研古典籍共同事業センターの山本和明さんが、国文学研究資料館の古典籍デジタル化戦略の現在について、○京大理学研究科の中西一郎先生が、古地震研究におけるくずし字解読の実践について、○阪大文学研究科の矢田勉さんが、変体仮名の文字コード標準化についてお話くださいます。海外からは、○ソウル大の金時徳さん、○ハイデルベルク大のユーディット・アロカイさん、○ケンブリッジ大のラウラ・モレッティさん、○UCLA図書館のトッド・グラボーンさんとバイアロック知子さんらが、それぞれの実践についてお話ししてくださいます。

そして今回の目玉は、プログラマにして京大文学研究科博士後期課程に在学中の橋本雄太さんを中心に、我々のプロジェクトチームで開発している「くずし字学習支援アプリ」のデモを行うことでしょうか。興味のあるかた、今から2月17日(水)は予定を空けておいてください!

今回の催しは、大阪大学文学研究科・国文学研究資料館・科研(挑戦的萌芽研究)主催、日本近世文学会後援です。国文学研究資料館の今西館長もお見えになり、閉会のご挨拶をしていただきます。
ポスター表.jpg
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2015年11月05日

日本古典籍デジタル化に関わる国際シンポジウム

日本古典籍のデジタル化と、くずし字解読(学習)に関わる話題が今年ほど出てきた年はないだろう。
今や、この動き、世界的にトレンドであることは、UCLAで行われたくずし字ワークショップや変体仮名アプリの開発、そしてケンブリッジ大学が行っている和本リテラシーのサマースクールなど、もはや否定できないだろう。日本でも日本近世文学会が和本リテラシーニューズを創刊し、ゲーム界でも「刀剣乱舞」のユーザーの中にくずし字に関心をもつ人が少なくないという。我々のくずし字教育プロジェクトにも大きな反響があり、プロジェクトの公式ブログ(Google+)の閲覧数は1万を超えている。
といいつつ、もちろん大部分の一般の人からみれば、「はあ?なにそれ?」というところかもしれない。
そういう現実はきちんと見詰めつつ、ともかくも前向きに進みましょう。

さて、世界的にトレンドだなんて大げさなと思われる向きもあろうが、下記のような国際シンポジウムが行われるのである。ドイツのハイデルベルク大学。初日はなんと、「くずし字教育の現在―ヨーロッパと日本―」である。まさにこういうことで意見交換される時代になっているということなのである。
 やはり国文研の大型プロジェクトの発進が、この動きを加速していることは確かである。原本で読みたいというのは、人間の本能に近い好奇心であって、読めるかもしれない!と思ったら、その気持ちは抑えられないだろう。くずし字アプリの性能向上と普及で、英語学習のように、くずし字学習ができるようになれば、日本の古典籍デジタル資料の活用が一気に増加することもありうるだろう。

2015年11月12-14日 「日本の歴史的典籍とそのデジタル化 −研究及び教育に与える影響」
− Japanese Pre-Modern Texts and their Digitalization: Effects on Research and Teaching
2015年11月12日(木)16:00 – 18:30
(会場: ハイデルベルク大学、日本学科、107番教室、アカデミー通り 4-8)
パート I: 日本古典研究のための基礎技術を教える
パネル・ディスカッション:くずし字教育の現在 −ヨーロッパと日本−
報告:ユディット・アロカイ、ドミニク・ウルナー、飯倉洋一、合山林太カ

2015年11月13日(金)
(会場: ハイデルベルク大学、マルシリウス講堂、ハウプト通り232-234)
ディスカッサント:イフォ・スミッツ(ライデン大学) ハイディ・ブック=アルブレット(ハイデルベルク大学)
パート II: 日本古典文学の射程 −研究の国際化に向けて−
10:00 ユディット・アロカイ(ハイデルベルク大学)
ドイツにおける日本古典文学の研究―伝統と展望―
11:00 盛田帝子 (大手前大学)
近世和歌の翻訳の試み
12:00 合山林太郎(大阪大学)
明清時代の中国の文学理論とその近世日本文化における影響

パート III: 日本の古典籍・歴史資料のデジタル化における新潮流
14:30 山本和明 (国文学研究資料館)
日本の古典籍のデジタル化における国文学研究資料館の戦略
「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」
15:30 奥田倫子 (国立国会図書館)
国立国会図書館のデジタル・コレクション
16:30 休憩
17:00 ウルズラ・フラッヘ (ベルリン国立図書館) ベルリン国立図書館における東アジア関係デジタル・コレクション
18:00 飯倉洋一(大阪大学)
デジタル資料を活用したくずし字読解の教育方法の開発


2015年11月14日(土) 10:00 – 12:00
(会場: ハイデルベルク大学、日本学科、107番教室、アカデミー通り 4-8)
討論:総括と今後の展望
Sponsored by the Excellence Initiative II of Heidelberg University
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2015年10月30日

鈴木加成太さん

角川書店『短歌』十一月号に、今年の角川短歌賞が発表されている。鈴木加成太さんの「革靴とスニーカー」。やったな!思わずいいたい。彼はまぎれもなく大阪大学文学部日本文学国語学専修の四回生である。そして、卒論のテーマは、近世演劇の趣向を戯作がどう取り込んだかというもの。つまり私のゼミに所属している。もっとも、短歌は専修の勉強とはほとんど関わらない内容で、日本文学のことは歌われない。「文献」という語は出てきてそれがちょっと嬉しかったが。連作のタイトルは「革靴とスニーカー」で、革靴が就活を、スニーカーが学生生活を象徴しているようだ。やわらかくて繊細な言葉使いで、日常のさりげない場面を、優しく、どこかさびしげに歌う。そうかと思うと、夢の中のシャボン玉のようなつかみどころのない、空想的世界が織り交ざる。

 着てみれば意外と柔らかいスーツ、意外と持ちにくい黒かばん
 少年期への帰路を失くして見る窓に学生街をつつむ夕焼け
 二階建ての数式が0に着くまでのうつくしい銀河系のよりみち
 夕焼けの浸水の中立ち尽くすピアノにほそき三本の脚

彼の世界というものを表現できているように思うし、引きだしを多く持っていると感じる。そしてまだまだ伸びしろがあるように思う。就活に対する違和感が連作のモチーフだ。欲を言えば、もうひとつ何かが足りない。論理のようなものかな。それがないためふわふわしてるが、それがいいともいえる。この辺は好みの問題だ。

 少しだけ彼の今を知る私としては、ちょっと語りたい衝動に駆られるが、まあ我慢しておこう。
そして、私が驚いたのは、次席が、佐佐木定綱氏であったということ。日本を代表する歌人のひとり佐佐木幸綱氏の御子息である。これは鈴木さんが将来歌人として大成したら、たぶん定綱さんも歌壇を引っ張る人になっているだろうから、あの時の角川短歌賞は・・・って語りぐさになりそうですね。
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中尾松泉堂100周年記念展示即売会に行きました

中尾松泉堂の百周年記念展示即売会二日目の29日。ゼミの学生ら数人を伴い、大阪美術倶楽部へ。会場に到着すると、何やら物色中の見慣れたお方の姿が目に入った。同僚のOさんだった。ご覧になっていたのは、懐徳堂関係資料一括。一五八冊の中には、「おおっ」というものが少なからず。しかも伝来を伺うと、これ以上ない筋のよいもの。早速Oさんと密談密談。
見栄えがするといえば、若冲の乗興舟。何度か見たことがあるが、全部を披いているというのは初めて見た。まさに船旅をゆっくり味わえる至福。
で、永代蔵(150万円)を見せてもらっていると、K大のO先生から「会議さぼってきたの?」と言われて、あ、そういえば会議があると思い込んでいて、ブログにも書いたのだが、それは私の勘違いで、幸い会議はなかったのです。来れてよかった。
興味深い貼込帖、戯作の稿本、これは展示物の芭蕉自筆(議論あり)の奥の細道。蕪村・其角など自筆のものも多くありました。
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2015年10月27日

絵入本ワークショップ[

 佐藤悟さんから、ご案内が届きました。すこぶる豪華な顔ぶれ。充実しております。あいにく当日は海外出張。これまでこのワークショップは1回しか参加できていない。まことに残念です。阪大院生の有澤さんも京伝で発表しますが、京伝は3つも発表があるようですね。

絵入本ワークショップ[発表プラン
会場 実践女子大学 東京都渋谷区東1−1−49

12月12日(土)午後
山本嘉孝  「施本における刑罰の絵 ― 山本北山『むかしありしこと』について」 東京大学大学院
山田和人   「ボストン美術館所蔵 竹田からくり絵尽し『国性爺合戦』「からくり九仙山操音曲」について」 同志社大学
松原哲子   「赤本論」 実践女子大学
木村八重子 「国立国会図書館蔵『ふくじん』について」

12月13日(日)午前
日比谷孟俊 「浮世絵に見る新吉原尾張出身者の活動」 慶應義塾大学
岩田和夫  「版木の再利用―初代豊国の役者絵を中心として―」
服部仁   「八代目市川團十郎−幼少期より襲名頃まで− 付 焉馬筆「市川團十郎家譜伝来之記」等」 同朋大学
延広真治  「朝倉無声蒐集「観場画譜」をめぐって」

12月13日(日)午後
鈴木奈生  「京伝作品と浮世絵―〈絵兄弟〉を例に―」 千葉大学大学院
有澤知世  「京伝と中良―京伝作品における異国意匠をてがかりに―」 大阪大学大学院・日本学術振興会特別研究員
神谷勝広  「京伝の飾り枠―『唐詩選画本』『唐土名勝図会』『唐土訓蒙図彙』利用―」 同志社大学
井上泰至  「幕末絵本読本の「古代」」 防衛大学校
鈴木 淳  「シーボルトと『北斎写真画譜』」
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